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覚え書:「書評:剣光一閃けんこう いっせん 戦後時代劇映画の輝き 小松 宰 著」、『東京新聞』2013年12月22日(日)付。


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剣光一閃けんこう いっせん 戦後時代劇映画の輝き 小松 宰 著

2013年12月22日

◆現代に通じる美意識
[評者]浦崎浩實=映画評論家
 かつて時代劇が日本映画の(戦前は特に)主流だったのは、いわゆる近代劇を日本は持たず、劇のモデルを旧劇に依存したことに由来しよう。安定した過去に人間の物語を闊達(かったつ)に展開したのである。
 本書の眼目は、時代劇映画を遠い過去の古くさいものとしてではなく、現代人と地続きの美意識や無意識をそこに探って、我々に鑑賞回帰を促すことだ。幕末・維新もの、忠臣蔵の競作、捕物帳、定番主人公のリメイクや競作、残酷・集団時代劇、黒澤時代劇、文芸時代劇などをトピックにして、戦前作もいくつか交えながら、戦後時代劇映画を概観する。とりわけ筆致が熱を帯びるのは、史実との突き合わせ、原作との異同の是非、その改作理由の推測にあろう。
 月形半平太のモデルは坂本龍馬ではとか、『新吾十番勝負』の主人公は天一坊+光源氏の投影ではとか、残酷時代劇とは橋本忍時代劇の謂(い)いで、東映の新選組映画は特攻隊映画にスライドした、など知見が楽しめる。その一方で、著者の生真面目さが時として、理に落ち過ぎと思われる点も散見。『次郎長三国志』は敗戦後の日本人に新たな帰属目標「家庭」を提供して「絶大な支持」を得たというよりは、何よりも面白かったからでは。捕物帳ものの事件が「飾り」では、脚本家が気の毒。使用料の高騰しているスチルを六十点以上もちりばめていて感激。
(森話社・2940円)
こまつ・おさむ 映画評論家。著書『怪談 鳳鳴(ほうめい)の七不思議』など。
◆もう1冊 
 川本三郎著『時代劇ここにあり』(平凡社)。勝新太郎・中村錦之助・市川雷蔵らが演じた時代劇映画百余本を紹介。 
    --「書評:剣光一閃けんこう いっせん 戦後時代劇映画の輝き 小松 宰 著」、『東京新聞』2013年12月22日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2013122202000170.html:title]

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