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覚え書:「今週の本棚・新刊:『日本降伏 迷走する戦争指導の果てに』=纐纈厚・著」、『毎日新聞』2014年01月12日(日)付。


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今週の本棚・新刊:『日本降伏 迷走する戦争指導の果てに』=纐纈厚・著
毎日新聞 2014年01月12日 東京朝刊

 (日本評論社・2310円)

 国家は、非常事態に直面したときにその本質を明らかにする。本書は、日本の敗色が濃厚になるなか「太平洋戦争」があそこまで長引いた理由に迫る。私たちの日本国の有り様を知るいいテキストだ。

 敗戦の過程を見ていて痛感するのは、国家(為政者)は国民の生命財産の保護を必ずしも最優先しない、ということだ。纐纈(こうけつ)厚氏はその事実を、史料を丹念に読み解きながら明らかにしている。戦争末期、敗戦必至の状況でも戦争指導者たちが「国体護持」にこだわって戦争を長引かせ、犠牲者が増えたことはよく知られている。著者によれば、彼らが叫んだ「国体護持」とは「それを口にする人物とその所属する組織の利益を保守するために恣意(しい)的な解釈の下に都合よく使われてきた言葉」、「組織温存のための金科玉条の言葉」でしかなかった。その呪文に自ら縛られ、柔軟な政治外交ができなかった、との指摘は鋭い。

 また戦争目的を「自存自衛」とした政府は、米英中蘭が日本を圧迫しているとし「ABCD包囲網」論を展開した。だがその包囲網は「フィクション」だったと断ずるなど、刺激的な論考が随所にある。(栗)
    --「今週の本棚・新刊:『日本降伏 迷走する戦争指導の果てに』=纐纈厚・著」、『毎日新聞』2014年01月12日(日)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20140112ddm015070026000c.html:title]

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日本降伏: 迷走する戦争指導の果てに
纐纈厚
日本評論社
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