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覚え書:「暮らしの明日 私の社会保障論 原発事故にどう応える 都知事選の歴史的意義=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年01月29日(水)付。


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暮らしの明日
私の社会保障論
原発事故にどう応える
都知事選の歴史的意義
湯浅誠 社会活動家

 人類史に残る東京電力福島第1原発事故以降、1000万人の有権者が1人を選出するという国内最大のメガ選挙で、初めて原発について審判が下る--。東京都知事選の歴史的意義を述べるとすればそのようになるだろう。
 一昨年の衆院選が最初の機会だったが、「脱原発」を主張する政党は複数に分かれ、当時の野党・自民党も「原発依存をなくす」と言い、違いは明確ではなかった。何より、アベノミクスが席巻し、最大の争点は景気だった。衆院選で原発について明確な民意が示されたと思った人は、あまりいないだろう。
 あれから13カ月。表面上の言いぶりは変わっていないものの、原発の再稼働、輸出、新増設について、安倍政権がどこに向かおうとしているのかは明確になった。
 猪瀬直樹前知事が辞職した時には、来るべき都知事選で原発の是非が争点になる気配は、まだなかった。だが「即時原発ゼロ」を掲げる候補者の登場で、状況は一変した。
 争点を設定する力とは、恐ろしいものだ。「脱原発」を主張することは誰もができるが、それをメガ選挙の争点に押し上げることは、誰にもできることではない。
 その上で、私たちは福島第1原発事故という人類史的事件の大きさを、改めて思い知る。一時的に争点から回避できたとしても、そのまま無数の出来事の中に埋没してしまうことなく、きちんと扱われることを求める熱が、何かの拍子に噴出する。その底力、持続力は、一過性の事件では持ち得ない事案の重大性ゆえの「力」だろう。
 人々の「応答」を求めるこの事件の力に、今回、東京都民はどう応えるのだろうか。先の衆院選の際には、有権者は「過去最低の投票率」という形で応えた。人類史的事件の後の最初の国政選挙に過去最低の投票率で応えた、という事実は、後世の歴史家を混乱させ、日本人に対する「不可解さ」の念を強めるだろう。今回の都知事選の投票率は、それを挽回するものであってほしい。
 私はよく思う。低い投票率で自分の意向と同じ結論が出た場合と、高い投票率で自分の意向と異なる結論が出た場合のどちらがうれしく、また悲しいだろうか、と。少なくとも、自分の意向と同じ結論が出れば、どれだけ投票率が低くてもうれしいとは言い切れない自分がいる。
 埼玉県民の私に、今回の選挙で投じる1票は、残念ながらない。しかし、だからこそ、東京都民の皆さんには、事件からの「呼びかけ」に応えてもらいたい。それは、被災者の皆さんも、亡くなられた皆さんも、同じ気持ちではないだろうか。
 東京都民の健闘を祈る。
ことば 東京都知事選 今回は16人が立候補。細川護熙氏と宇都宮健児氏が「脱原発」を掲げる。舛添要一氏と家入一真氏は「脱原発依存を進める」、ドクター・中松氏は「新エネルギーの開発」を訴える。田母神俊雄氏は再稼働容認の立場だ。投開票は2月9日。
    --「暮らしの明日 私の社会保障論 原発事故にどう応える 都知事選の歴史的意義=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年01月29日(水)付。

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