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覚え書:「【自著を語る】『岡田英弘著作集I 歴史とは何か』 岡田英弘さん(東京外語大名誉教授)」、『東京新聞』2013年12月24日(火)付。

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【自著を語る】

『岡田英弘著作集I 歴史とは何か』 岡田英弘さん(東京外語大名誉教授)

2013年12月24日


◆史実認識の溝を越えて
 歴史は文化の一つである。文明によって、これが歴史である、と思う内容や、史実の認識には大きなギャップがある。
 私がこのような結論に至ったのは、私の学問遍歴のためである。
 私は戦後、日本がアジア大陸から総引き揚げの時代に東京大学東洋史学科に入学した。失業に直結する道を承知の上で東洋史を選んだのだから、なるべく不人気な分野をやろうと朝鮮史で卒論を書いた。そうしたらもっと不人気な分野があって、話し手もいなくなった満洲語文献の解読グループに参加し、二十六歳で学士院賞を受賞した。
 職はないからアメリカに留学してモンゴル語とチベット語を学び、中国人とは英語で会話し、満洲語文献の調査に台湾に頻繁に通った。
 こうして私は漢字文献を絶対視しなくなった。亡命ロシア人のモンゴル学者を恩師としたおかげで、欧米の思想も逆の側から見ることができた。
 現在の日本人が歴史と考えているものには二つの源流がある。ヘーロドトス著『歴史』に始まる地中海世界の歴史観は、世界はつねに対立抗争し、国家は興亡するものと考えるが、司馬遷著『史記』の歴史観は、天下は不変で天命による統治権は絶対だとする。
 日本人は、これら二つの異なった歴史観を疑うことなく取り入れて世界史としたため、一貫した叙述ができない。それで私は、十三世紀のモンゴル帝国からを世界史とし、それ以前は地域史のままでよいと提唱した。十八世紀の国民国家成立以後が現代史である。
 著作集第一巻『歴史とは何か』では歴史そのものを論じ、第二巻『世界史とは何か』では、中央ユーラシアがどのように世界史を変えてきたかの具体例を示した。
 新年一月刊行の第三巻『日本とは何か』では、シナ文明に対抗して生まれた日本文明の成立過程を、第四巻『シナ(チャイナ)とは何か』では、漢字文献に引きずられないシナ通史を述べる。
 その他、現代中国論、モンゴルやチベットの歴史、時事評論や書評、学会参加報告等が、全八巻で刊行予定である。(藤原書店・三九九〇円)
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 おかだ・ひでひろ 1931年東京生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業。57年『満文老〓(まんぶんろうとう)』の共同研究で学士院賞受賞。シナ史、モンゴル史、満洲史、日本古代史と幅広く研究し、独自に「世界史」を打ち立てる。
    --「【自著を語る】『岡田英弘著作集I 歴史とは何か』 岡田英弘さん(東京外語大名誉教授)」、『東京新聞』2013年12月24日(火)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/jicho/list/CK2013122402000207.html:title]

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