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書評::エルンスト・ヴァイス(瀬野文教訳)『目撃者』草思社、2013年。

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エルンスト・ヴァイス(瀬野文教訳)『目撃者』草思社、2013年、読了。日本ではなじみが薄いが20世紀ドイツ文学に最重要の位置を占めるヴァイス、待望の邦訳。モラビア出身のユダヤ人精神科医にしてカフカの友人は、ナチズム勃興期の市民生活の息吹を「目撃者」の如くありありと浮かび上がらせる。

著者は19世紀後半からヒトラー政権成立に至るドイツの歴史を、市民生活の実相…それは政治的無関心とその対極の熱狂…として描き出した。本書は小説だが、著者は虚構を借りて真実を伝えようと試みる。40年、ベンヤミンより3カ月早く彼はパリで自殺する。

ヒトラー政権誕生とレイシズムは切っても切り放すことは不可能だが、熱狂的に待望した民衆は、経済的安定を強いリーダーに求めたことも事実だ。フロイトの手法を熟知した著者ならでは、そのリアルな叙述は、過去のものとは思えない。

「第二次世界大戦へとひた走る危機の時代、その時代の気配を濃密に味わうことのできる一冊」。 読者は読み終えて戦慄するであろう。80年前の危機が現在進行形として伴走することを。


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