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覚え書:「今週の本棚:大竹文雄・評 『意外と会社は合理的』=R・フィスマン、T・サリバン著」、『毎日新聞』2014年02月02日(日)付。

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今週の本棚:大竹文雄・評 『意外と会社は合理的』=R・フィスマン、T・サリバン著
毎日新聞 2014年02月02日 東京朝刊

 (日本経済新聞出版社・1890円)

 ◇「組織の経済学」で会社の問題を理解する

 「帝政ロシア軍のある将軍が、軍隊でノミが大量繁殖して困っていたので、ノミを一匹捕まえるたびに報奨金を出すことにした。……フタを開けてみると、ノミの被害はさらに広がった。毛深く皮膚の厚い兵士が大量のノミを飼育して同僚に販売し、全員がノミの報奨金で大儲けできるようにしたからだ。」本書で紹介されている小話である。著者はコロンビア大学のフィスマン教授と編集者のサリバン氏。本書は、組織の経済学と呼ばれる経済学の成果を豊富な具体例で一般向けに解説したものだ。

 笑っていられない実例も多い。あるソフトウェア会社がプログラマーの報酬にバグ(プログラムミス)修正の件数を反映させると、バグは増えたという。警察官に逮捕件数に応じた報酬制度を適用すれば、警察官は殺人事件よりも軽犯罪を取り締まるだろう。銀行員に融資額に連動した報酬制度を適用すれば、銀行員は貸し倒れリスクを無視して融資額を増やすだろう。

 インセンティブ設計は難しい。私たちが働いている組織は、組織の目的に沿って私たちが働くように、様々な制度をもっている。しかし、多くの仕事は単純な業績指標ではその成果をはかれないことが多いし、複数の仕事をしている上、チームワークや評価が難しい仕事も多い。だとすれば、インセンティブや監視がなくても、組織のために正しいことをしてくれる人材を捜した方が早いかもしれない。

 会社は様々な工夫をしている。グーグルは、高いプログラミング能力をもった従業員の採用に力を入れ、充実した福利厚生制度を提供し、社員をつなぎ止める努力をしている。窓口係として顧客対応能力が優れているのは休息時に笑顔を浮かべていた人物であることを知ったコマースバンクは、面接にきた求職者が待機している間に受付係が表情を観察し、スマイルテストに合格した人を原則採用するという。

 難しいのは、組織の目標と自分の目標が近い優れた従業員にはインセンティブ制度が不要だけれども、そうでない人には必要だということだ。評価制度には歪(ゆが)みがあるため、それを利用して所得を最大にする従業員をみると、組織の本来の目標に忠実な従業員には大きな不満となってしまう。しかし、こうした問題は、組織を運営するためには必要なコストであることが、組織の経済学から論理的に明らかにされるのである。

 教会の牧師のインセンティブ制度、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)社の企業組織の変遷、アメリカ陸軍やマクドナルドが直面する規律への服従と創造性の両立という問題など、様々な具体例から、最適な組織が複数の目的のバランスでできていることを読者は理解することできる。

 組織の中で最も重要な役割をしているのがCEOである。戦略的目標を設定することはCEOでなければできない。では、CEOは具体的に何をしているのか。ある調査によればCEOは労働時間の80%を会議に使っている。CEOは情報を集め、自分のビジョンを従業員に伝えることを主な仕事にしているのだ。特に、言葉にするのが難しい指示や指針という組織文化を醸成することこそリーダーシップの役割だという著者らの指摘は大切だ。明文化されたルールがない場合に人々がとる行動の方向付けができるか否かが、組織の効率性を大きく左右するのだ。

 組織を運営する立場の人も、組織の中で非効率性に疑問を感じている人も、本書を読めば納得できることが多いはずだ。そして、会社という複雑な組織も、経済学の目でみると違って見えてくる。(土方奈美訳)
    --「今週の本棚:大竹文雄・評 『意外と会社は合理的』=R・フィスマン、T・サリバン著」、『毎日新聞』2014年02月02日(日)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20140202ddm015070012000c.html:title]

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