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覚え書:「書評:漱石のパリ日記 山本 順二 著」、『東京新聞』2014年02月02日(日)付。

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漱石のパリ日記 山本 順二 著

2014年2月2日


◆光と影感じた一週間
[評者]小倉孝誠=慶応義塾大教授
 夏目漱石が一九〇〇年十月末から、国費留学生として二年間ロンドンで暮らしたことはよく知られている。ところで漱石は、イギリスに渡る前パリに一週間滞在している。彼はそこで何を見て、何を感じたのだろうか。本書は漱石の日記や手紙、そして同時期ヨーロッパに渡った他の日本人たちの記録にもとづいて、その一週間を再現してみせる。
 パリに立ち寄ったきっかけは、万国博覧会を見物するためだった。時はベル・エポック(美しき時代)、パリがまさに美と繁栄を誇っていた頃である。博覧会場に足を運んでその規模に驚き、エッフェル塔にのぼり、生まれてはじめて地下鉄に乗り、繁華街のようすを目にして「其(その)状態は夏夜の銀座の景色を五十倍位立派にした」ようなもの、と漱石は感嘆した。ひとりの観光客として、華(はな)の都の壮麗さに圧倒されたのである。
 他方、博覧会に展示された日本の陶磁器や西陣織がみごとな工芸品であり、他の国の展示品と比べて遜色ないことも、きちんと見ていた。さらに、夜の歓楽街に娼婦(しょうふ)たちが数多く群がって、いかがわしい雰囲気がただよっていることに眉をひそめた。「巴里の繁華と堕落は驚くべきものなり」。漱石先生、パリの光と影をしっかりとらえていた。
 漱石ファンにも、パリの歴史に関心ある読者にも、楽しい一冊である。
(彩流社・2100円)
 やまもと・じゅんじ 新聞記者を退職後、ライターに。著書『漱石の転職』。
◆もう1冊
 鹿島茂著『パリの日本人』(新潮選書)。成島柳北・原敬・獅子文六など、幕末以降の日本人によるパリ訪問を探る。
    --「書評:漱石のパリ日記 山本 順二 著」、『東京新聞』2014年02月02日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014020202000164.html:title]

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投稿: Cheap Oakley Sunglasses | 2014年2月10日 (月) 15時40分

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