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覚え書:「今週の本棚・新刊:『岩波茂雄と出版文化 近代日本の教養主義』=村上一郎・著、竹内洋・解説」、『毎日新聞』2014年02月16日(日)付。


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今週の本棚・新刊:『岩波茂雄と出版文化 近代日本の教養主義』=村上一郎・著、竹内洋・解説
毎日新聞 2014年02月16日 東京朝刊

 (講談社学術文庫・756円)

 「あの」村上一郎が、1960-61年ごろに書いた岩波書店創業者、岩波茂雄の評伝である。村上の作品などを知る人にとっては、驚くべき組み合わせだろう。村上は、60年安保後、吉本隆明らと雑誌『試行』を創刊し、晩年の三島由紀夫に評論を絶賛され、最後は日本刀で自殺した。一般にイメージされる岩波文化の対極にありそうな人物だ。

 だが、岩波書店ではなく日本評論社などの編集者をし、東京・京都両帝大ではなく東京商大(現一橋大)出身と、岩波を傍(はた)で見続けた位置にもいた。本書で講談社文化と岩波文化、大衆(あるいは亜インテリ)とインテリの間に断絶ではなく同質性を見いだしたのは、村上ならではか。戦後インテリの思考と庶民の乖離(かいり)を指摘し、そこから岩波的なものの、いわば乗り越えも呼びかける。知性の権威が完璧に失われた今読むと、複雑な思いにとらわれる。

 元々、複数の著者による『明治大正出版社史』のために書かれ、本文は約80ページ。今回は、本文の前後に、教養主義研究の第一人者、竹内洋による解説が計60ページほど付いた。今、新品で買えるおそらく唯一の村上の著書でもある。(生)
    --「今週の本棚・新刊:『岩波茂雄と出版文化 近代日本の教養主義』=村上一郎・著、竹内洋・解説」、『毎日新聞』2014年02月16日(日)付。

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