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覚え書:「映画『福島 六ヶ所 未来への伝言』の島田監督に聞く 原発社会の『入り口』と『出口』描く」、『聖教新聞』2014年02月18日(水)付。


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映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」の島田監督に聞く
原発社会の「入り口」と「出口」描く

事故後、深まる立地地域の葛藤
私たちはいかなる未来を選ぶのか

(写真キャプション)東京で避難生活を続ける田邉さん親子。幸恵さんは第2子に、ふるさとへの思いと我が子の幸せを込めて「福」ちゃんと名付けた (C)島田恵
(写真キャプション)六ヶ所村泊で漁業を営む滝口さん一家。「何の心配もなかったのよ。核燃が来るまでは」--久子さんは静かにそう語る (C)島田恵

ウラン濃縮工場や使用済み核燃料の貯蔵・処理を行う施設が集中する青森県六ヶ所村。--。ドキュメンタリー映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」は、六ヶ所村を20年以上にわたって撮り続けてきた写真家・島田恵さんの初監督作品である。福島と六ヶ所村を結ぶ作品にかけた思いを聞いた。

村の歴史を記録に
 〈六ヶ所村を初めて訪れたのは1986年。北国の小さな村で核燃料サイクル施設(以下、核燃施設)をめぐって激しく争われる姿を目の当たりにした島田さんは、その後、村に移り住み、ひとびとの生活、変貌する村の風景を写真に収めてきた〉

 --今回、映画を製作しようと考えられたのはなぜでしょうか。
 20年以上、私が関わってきた六ヶ所村の、その核燃施設をめぐる歴史を記録として残しておきたいという気持ちから映画製作を思い立ちました。2002年には、東京に戻っていたのですが、六ヶ所村のことはいつも頭にありました。使用済み核燃料の反夕や、再処理工場の稼働に向けた試験が始められるなか、自分に何ができるのか、悶々とした日々を過ごしました。
 しかし、このままでは私が見てきた、人々の激しい反対運動も何もなかったかのように葬り去られるのではないか、それに憤りを感じ、多くの人に六ヶ所村の歴史を知ってもらえる映画を製作したいと思ったのです。

 --11年2月に撮影を始められ、翌月には福島原発事故が発生します。当時の思いはどのようなものだったのでしょうか。
 映画製作をスタートした直後のことで大きな衝撃を受けました。その現実に心が折れ、映画どころではない、福島の友人のところへすぐにでも駆けつけるべきではないかとも思いました。
 しかし、自己を機に人々が原発について考えている今だからこそ、映画を完成させることに意味があるのではないか、次第にそう思うようになったのです。また、突きつけられた現実を無視せず、福島もあわせて撮ろうと考えました。
 福島原発事故では、大量の放射性物質が放出され、放射能汚染が広がりました。しかし、原発は自己を起こさなくても日々稼働させるだけで放射性廃棄物を生み出すものです。そして、それらは六ヶ所村に運び込まれてきます。両者をあわせて撮るなか、原発社会の「入り口」と「出口」を描くことができるのではないか、そうした思いも生まれました。

悲しみと新たな希望
 --原発事故からの避難者として、幼い子供を抱える家族を取り上げられています。
 福島に通うなか、原発事故によって多くの方々が深い苦悩を抱えていることを目の当たりにしました。決して比較はできませんが、そのなかでも厳しい現実に立たされているのが子どもたちであり、そうした子どもを抱えるお母さんたちだと思いました。
 原発が事故を起こせば、放射線に対する感受性が強い子どもが最も被害を受けることは、すでにチェルノブイリ原発事故でも証明済みです。
 避難先の東京の助産院で第2子を出産されたお母さん。思い悩んだ末、新潟に自主避難することを決めたお母さん。一人一人につらく深く悲しいドラマがありました。しかし、そのなかでも新しい命の誕生は確かな未来を予感させてくれる希望でもありました。

 --原発事故後、六ヶ所村はどう変わるのか。それを確かめたい思いもあったようですね。
 六ヶ所村には、それこそ事故が起これば福島以上に大きな被害を出す核燃施設があり、人々の不安は高まっていました。しかし同時に、事故を機に原子力政策が転換してしまえば、われわれの生活はどうなるのかという不安も広がっていました。住民の多くが核燃施設やその関係機関に従事してきた村にとって、それは当然の反応だったのかもしれません。
 核燃施設は、それほどに村民の中に深く入り込んでいる--その現実をあらためて知らされました。しかし、核燃施設を受け入れる葛藤は、これまで以上に人々を悩ませています。原発事故以前であっても、核燃施設が絶対に安全だと安心していた人はほとんどいませんでしたが、その危険性にはずっと目をつぶってきました。
 しかし、それが福島の事故で暴かれてしまいました。ひとびとは核燃施設を抱える危険性に真正面から向き合わざるを得なくなったのです。

核燃は全国民の課題

 --著書の『六ヶ所村 核燃基地のある村と人々』では、「核燃は全国民の課題」と述べられています。
 原発とそれにともなう放射性廃棄物の問題は、この時代に生きる私たちが作り出してしまった大きな課題です。それを一地域である、六ヶ所村に背負わせることには無理があります。しかも、そのやり方は、まるで札束で頬を叩くかのようなやり方でした。多額の交付金、公共事業が用意され、人の心や地域が買われていくのを私は何度も目にしました。大金をちらつかせ買収するやり方はフェアではないし、フェアでないこと自体に核燃施設の危険性が表れていると感じています。
 映画を通し、原発は常に核の廃棄物の問題を抱えていることを知っていただきたい。そして、私たちは今、どういう未来を選択しようとしているのか--その岐路に立たされていることを知ってほしいと思います。この時代を生きる私たちの責任はとても大きいはずです。

東京・渋谷で上映中 全国でも順次公開
「福島 六ヶ所村 未来への伝言」は、東京・渋谷のオーディトリウム渋谷で28(金)まで上映中。各地での上映スケジュールは公式サイトを参照

[http://www/rokkashomirai.com/:title]

    --「映画『福島 六ヶ所 未来への伝言』の島田監督に聞く 原発社会の『入り口』と『出口』描く」、『聖教新聞』2014年02月18日(水)付。

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