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覚え書:「書評:無形民俗文化財が被災するということ 高倉 浩樹・滝澤 克彦 編」、『東京新聞』2014年03月02日(日)付。


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無形民俗文化財が被災するということ 高倉 浩樹・滝澤 克彦 編

2014年3月2日


◆日常を取り戻す力に
[評者]今石みぎわ=東京文化財研究所研究員
 民俗芸能や祭り行事のように形を持たない文化が東日本大震災の復興において果たした役割は何か。宮城県沿岸部における無形の民俗文化(財)の震災前後の歩みを、文化人類学や民俗学の研究者が描き出す。行間から浮かび上がるのはこうした無形の文化が持つ力だ。それは日常生活が安定して初めて享受されるものではない。むしろ震災後に驚くべき早さで芸能が復活し、仮設住宅に神棚が飾られたように、無形の文化は人々が日常を取り戻すための原動力ともなった。
 本書のユニークな点は震災前の暮らしに対する深いまなざしがあることだ。その暮らしがどう受け継がれようとしているのか、通底するキーワードは「変化」である。震災によって地域の在り方は変化する。それに伴い無形の民俗文化自体も、人々にとっての意味も変容せざるを得ない。単なる復活・再開はあり得ず、むしろ今後の地域像を模索する際のひとつの核として、無形の文化には新しい役割も期待されるとの示唆は心強い。
 一方で、芸能や祭礼などの非日常は本来、日常と分かちがたいものだという指摘も重たい。震災から三年がたち、徐々に日常を取り戻しつつある今だからこそ、その中に再びどう非日常を取り入れ、意味づけていくのか。現在進行形で続く各地での模索を今後も追ってほしい。
 (新泉社・2625円)
 編者以外の執筆者は、政岡伸洋・金賢貞・山口未花子・川島秀一ら22人。
◆もう1冊 
 星野紘ほか編『民俗芸能探訪ガイドブック』(国書刊行会)。全国百六十余の民俗芸能の期日・歴史などを紹介。
    --「書評:無形民俗文化財が被災するということ 高倉 浩樹・滝澤 克彦 編」、『東京新聞』2014年03月02日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014030202000180.html:title]

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