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覚え書:「今週の本棚・本と人:『千日の瑠璃 究極版 上・下』 著者・丸山健二さん」、『毎日新聞』2014年03月02日(日)付。

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今週の本棚・本と人:『千日の瑠璃 究極版 上・下』 著者・丸山健二さん
毎日新聞 2014年03月02日 東京朝刊

 (求龍堂・各2940円)

 ◇人間の生を掘り下げた千編--丸山健二(まるやま・けんじ)さん

 架空の町「まほろ町」の森羅万象すべてが、千日のできごとを描いた千の短編で織りなされる。1992年に文藝春秋から出版された傑作を、全面的に書き直した。名付けて究極版。

 「徹底的にやりました。単なるリニューアルではない。見違えるような、何回読んでも発見のある作品になりました」

 物語の核となるのは、体の不自由な少年世一。「静謐(せいひつ)と倦怠(けんたい)の田舎町」の湖を見下ろす家に両親と姉、美しいオオルリと暮らし、移りゆくすべてを透徹した眼(め)で見つめる。コイを飼うおじ、やくざ者の長身痩躯(そうく)の青年、著者を思わせる小説を書く男性などが登場する。

 「その辺にいそうな人物が出てきます。人間とは何か、この世とは何か、生きる意味とは何か。そこを深く哲学的に掘り下げる。ぐしゃぐしゃな世界の中に、本当の感動が秘められているはずです」

 千編の語り手は、帽子、ボールペンから空気や闇など全て異なるが、人間はいない。

 「小説家の私を主語にすると、どうしても上からの視線になり、読者は抵抗感を持つ。もっと自然な形で話を浸透させたいので、いろいろな視点を並べて作者の影を薄れさせました」

 一編がちょうど本を見開いた2ページ分。暴力団の事務所開設、リゾート開発の動きなどに住民の思惑が交錯する。鋭くも抑制の利いた文章で表現される一編一編が響き合い、ひとつの大きな世界が生み出される。

 「人間の切なさが全編に出てきますが、なるべくさらっと通り過ぎる書き方にしています。汚いものでも美しく書かなければいけない。読後感は爽やかであってしかるべきです」

 都会から離れた豊かな自然のある土地で日の出と共に起き、庭仕事をし、小説を書く。執筆は午前中のみ。だが文章を研ぎ澄ます訓練は欠かさない。

 「前は腕がなかったので、ところどころに引っかかりがあった。書き直しで、ここをくぐり抜けて今になっていると確認できた。これぐらい露骨に実力がついたのが分かると気持ちがいい。二十数年間、伊達(だて)に頑張ってきたんじゃないなと思いました」<文と写真・小玉祥子>
    --「今週の本棚・本と人:『千日の瑠璃 究極版 上・下』 著者・丸山健二さん」、『毎日新聞』2014年03月02日(日)付。

[http://mainichi.jp/shimen/news/20140302ddm015070031000c.html:title]

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