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覚え書:「【書く人】必要な人に言葉を運ぶ 批評家 若松 英輔さん(45)」、『東京新聞』2014年03月16日(日)付。


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【書く人】

必要な人に言葉を運ぶ 批評家 若松 英輔さん(45)

2014年3月16日

◆『君の悲しみが美しいから 僕は手紙を書いた』
 「僕は常々、本を書く人間は言葉を運ぶ人間だと思っています。僕の中に言葉があるのではなくて、どこからかやってくる言葉を、どこかで必要としている人の所に運ぶ仕事です。それを一番素直な形で表せるのが手紙という形式だと、今回分かりました」
 十一通の手紙で編んだ一冊だ。被災地で大切な人を喪(うしな)った若い世代をはじめ、悲しみを抱える人に向け、語りかける文章が並ぶ。実際に出した手紙ではないが、特定の相手を想定した文章がほとんどという。
 「詩人のリルケには多くの作品がありますが、最も長く残るのは、彼の書簡だと思う。特定の人に向けて最大限の力を使って真摯(しんし)に書かれた言葉は、多くの他者にも届くのだと思います」
 本の中で繰り返し語られているのが「悲しむこと」の大切さだ。「『悲しみは悲惨で、癒やされなくてはならない』ということに、いつの間にかなってしまった。でも、それは違う。本当に悲しみを背負って生きている人は、悲しみがあるから生きられるんです」
 震災の前年、乳がんで妻を亡くした。震災後、自らの実感をもとに、「死者とともに今を生きる」という「死者論」を唱え、大きな支持を受けてきた。
 手紙を書くのは「不可視な他者」を認識する機会にもなるという。「目の前にいない他者を大事にしなければいけないと、死者は我々に教えてくれている。たとえそれが敵であってもです。敵であっても僕たちはその人たちに支えられている。世の中はそうやって複雑に成り立っている。僕が死者論を語るのは、それを伝えたいからなんです」
 鎌倉時代の僧が、自分が住んだ島に手紙を書いて弟子に届けさせた、という話を本の中で紹介した。
 「被災地の方も同じことをすればいいと思います。喪われた場所や喪われた人に向けて、手紙を書けばいい。自分の中で今も生きていると信じている人は、手紙の受け取り手になりうる。それは一番お伝えしたいことです」。これは被災者に限った話ではない。「仮に小さいころにお母さんを亡くした方がいれば、お母さんに手紙を書けばいい。手紙を書くことは、自分の意識の奥深くを呼び覚ましてくれる。自分を本当に驚かせる、魂を震わせる言葉は、そこから出てくるのだと思います」
 河出書房新社・一五七五円。 (石井敬)
    --「【書く人】必要な人に言葉を運ぶ 批評家 若松 英輔さん(45)」、『東京新聞』2014年03月16日(日)付。

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