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覚え書:「ブラックホールに近づいたらどうなるか? [著]二間瀬敏史 [評者]川端裕人(作家)」、『朝日新聞』2014年03月16日(日)付。


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ブラックホールに近づいたらどうなるか? [著]二間瀬敏史
[評者]川端裕人(作家)  [掲載]2014年03月16日   [ジャンル]科学・生物 

■二度と戻れぬツアー、疑似体験

 今年の春(つまり今この瞬間にも)、我々の天の川銀河の中心「いて座Aスター」にある巨大ブラックホールに、地球の3倍の質量を持ったガス雲の一部が落ち、爆発的に輝くと予想されている。見た目に華やかな天体ショーになるかはともかく、専門家の観測レベルでは、間違いなく、謎にみちたブラックホールに迫る好機だ。関連ニュースを目にすることも多くなるだろう。
 本書は肩の力を抜いて読めるブラックホール入門書。理論的な発見と存在証明の章を経て「ご近所のブラックホールを訪問」したり、様々な種類のブラックホールの「ツアー」に出かけたりする。
 「ご近所」では、やはり天の川銀河の「いて座Aスター」が興味深い。まさに銀河の中心であり、我々の太陽系の付近よりもずっと星々が密だ。向かう途中の景観自体素晴らしいだろう。そして、高速で回転する3本のガスの腕の中心に太陽の400万倍の質量を持つブラックホールがある、というのも凄(すご)いイメージだ!
 タイプ別ツアーは、理論的には一番単純なシュワルツシルト・ブラックホールという種類から始める。危険を伴う半径の3倍以内の軌道へ進入。漆黒が視界の大部分を占め「深い井戸の中から外を見上げたように、円形に圧縮された全宇宙が猛烈な明るさで輝いている」のを仰ぎ見、操船ミスでブラックホールに落ち込んで「中」も体験する。宇宙船も乗員も二度と戻れないまさに「ブラック」なツアーだが、読む分には楽しい……。
 なお、ブラックホールは、極端な天体だけに、宇宙の起源や成り立ちに迫る示唆を与える。本書の後半で、ヒッグス粒子との関連や、私たちが認識している3次元空間はある種の幻で、「無限の遠方にある2次元面の境界」に書きこまれた情報から現れる映像のようなものとするホログラフィック原理も紹介されている。興味を持ったら、さらに専門的な書籍に進むとよい。
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 さくら舎・1575円/ふたませ・としふみ 53年生まれ。東北大学教授(宇宙論)。『日本人と宇宙』など。 
    --「ブラックホールに近づいたらどうなるか? [著]二間瀬敏史 [評者]川端裕人(作家)」、『朝日新聞』2014年03月16日(日)付。

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[http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2014031600007.html:title]

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ブラックホールに近づいたらどうなるか?
二間瀬 敏史
さくら舎
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