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覚え書:「宇宙論と神 池内 了 著」、『東京新聞』2014年03月16日(日)付。


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宇宙論と神 池内 了 著

2014年3月16日


◆果てない謎を考える
[評者]金子務=科学史家
 数物系科学の基本に切り込んできた池内氏が、今度は神と宇宙の問題を、神話から現代までの流れとして、軽妙なタッチで取り上げる。宇宙論の分野はいまもっとも刺激的な学問分野の一つになった。各種望遠鏡の登場で、観測データが積み重なり、宇宙の果て、つまりその起源まで覗(のぞ)けるようになったからである。
 著者にいわせれば、「神と宇宙は相性がよい」、どちらも長いこと空想の産物とされ、物質の運動から自然を説明してきた科学の鋭鋒(えいほう)を怖(おそ)れて、「神が後退していった」先が宇宙である。
 なるほど加速宇宙の発見で、いま宇宙全体の九割以上を占めるとされるのが、暗黒物質とダーク・エネルギーという、説明不能な難物である。その砦(とりで)に神は逃げ込んで隠れているというわけだ。
 こう見ると池内氏の神は深遠なる謎、不可解なパズルに近い。謎が謎とわかるのが謎だとしたアインシュタインの「スピノザの神」とは距離がある。著者同様大方の先端科学者は神との直接対決を避け、神の所産である自然を扱うというガリレオ以来の伝統に立つ。光速度や各種物理定数が人間存在を許す値になっていることを重視する立場を「人間原理」というが、それは神なしの人間一元論になると抗議して「アメーバ原理」と揶揄(やゆ)しているのが面白い。科学から神問題を考えたい向きには手頃な解説書である。
 (集英社新書・777円)
 いけうち・さとる 1944年生まれ。宇宙物理学者。著書『物理学と神』など。
◆もう1冊 
 佐藤勝彦著『気が遠くなる未来の宇宙のはなし』(宝島社)。宇宙の終焉(しゅうえん)、こども宇宙・孫宇宙の誕生など未来を予想。 
    --「宇宙論と神 池内 了 著」、『東京新聞』2014年03月16日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014031602000178.html:title]

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