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書評:ワシーリー・グロスマン(齋藤紘一訳、亀山郁夫解説)『万物は流転する』みすず書房、2013年。

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ワシーリー・グロスマン(齋藤紘一訳、亀山郁夫解説)『万物は流転する』みすず書房、2013年、読了。「自由であるということは本当に恐ろしいことだ」。帝政から近代国家へ。形式は変われどもロシアの内実は変わらない。個人の徹底的な抑圧と民衆が国家と支配者の奴隷であること=非・自由こそロシアの歴史であると著者はいう。

本書の主人公イワンがラーゲリを出獄するのは、スターリンの死の翌年、「自由とは善きものである」という主張が原因だ。監獄で過ごした30年近い歳月は、狂気と暴力の支配、絶え間なく続く収奪と飢餓はロシアの歴史そのものである。

スターリンだけを特異な悪魔化で理解できるのだろうか。その父母はレーニンであり革命であり、国家の存在である。しかしこれはロシアにだけ「限定」される問題なのか。小説ながら著者の哲学的洞察は私たちの蒙を啓く。

「自由の意味を語ることができるのは、自由の恐ろしさを知る者だけである。この認識でグロスマンはドストエフスキーに近づく」(亀山郁夫・解説)。著者の『人生と運命』と合わせて読みたい。

[http://www.msz.co.jp/topics/07784/:title]


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