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書評:辻村みよ子『比較のなかの改憲論 日本国憲法の位置』岩波新書。2014年。


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日本国憲法の歴史的意義とは
 憲法史的に見れば、「押し付け」よりもむしろ、明治時代の自由民権運動が築いた民主的憲法思想が、鈴木安蔵らの「憲法研究改案」に結実して、ラウエル文書からマッカーサー草案に伝わり、新憲法のなかに取り入れられた、という日本国憲法の歴史的事実こそが重要である。
    --辻村みよ子『比較のなかの改憲論 日本国憲法の位置』岩波新書。2014年、223頁。

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辻村みよ子『比較のなかの改憲論 日本国憲法の位置』岩波新書、読了。本書は憲法学・比較憲法学の立場から日本国憲法の位置づけや憲法改正手続きの問題を検討する一冊。各国との対比は改正手続きが厳しすぎる訳でもないことを、背景となる「押しつけ憲法論」の虚偽を明らかにする。

昨今の稚拙な改憲論は「ゲームに勝つためにゲームのルールを変えよう」という国民の意識や生活とかけ離れた「政治の論理」。必要なことは喧噪に籠絡されず、人権の尊重や平和主義など日本国憲法の精神を活かすことではないだろうか。

「とくにこれからの憲法論は、個人の人権を守るために国家が存在し、戦争こそが最大の人権侵害であることを基礎として、新時代を先取りする観点から論じることが肝要」と著者はいう。自由な討議は必要不可欠だが、抜き打ち的な拙速は避けたい。

日本国憲法の中に、戦前より一貫して流れる草の根の息吹が合流するがごときものは、憲法だけでなく、デモクラシーの議論にもあるのではないかと思う。吉野作造の民本主義の主張と実践に関しても、戦前戦後で断絶しているわけではないが如くに。 


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