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覚え書:「今週の本棚・新刊:『庭柯のうぐひす』=高祖保・著」、『毎日新聞』2014年03月30日(日)付。


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今週の本棚・新刊:『庭柯のうぐひす』=高祖保・著
毎日新聞 2014年03月30日 東京朝刊

 (龜鳴屋・2500円+税)

 昭和期の詩人高祖保(こうそたもつ)(一九一〇-一九四五)の生前没後を通して初の随想集である。編者は外村彰。

 高祖保は岡山・牛窓生まれ。終戦の年、出征先のビルマで戦病死。三十四歳だった。憂いを帯びた清雅な詩は『現代詩文庫・高祖保詩集』(思潮社・一九八八)に収まるが、散文は素顔を伝える。表題作「庭柯(ていか)のうぐひす」(庭柯は、庭木の枝)。知人からの小包を披(ひら)くと、尾州、伏見、豊前などの色鮮やかな土鈴。「淡い感慨のなかにゐると、青木と冬青のしげみのかげを、笹鳴(ささなき)らしいものがかすめた」と春の萌(きざ)しを記す。「詩と生活との関聯(かんれん)」では諸家の書簡を素描。「行文の水際だつた美しさ」(安西冬衛)「柔軟犀利(さいり)な詩感」(堀口大學)と、ことばも弾むようす。

 堀辰雄、田中冬二らとの交友にふれる滞在記「軽井沢より」。青年期を過ごした近江・彦根への郷愁「湖のほとりへ」。どの随想にも間接照明のような、柔らかく優しい光が感じられる。それは遠ざかる昭和詩のおもかげでもあるだろう。金沢市の龜鳴屋(電話〇七六-二六三-五八四八)の刊行。直接販売、限定五〇三部。本文の文字の色は表題に通じる緑。造本にも詩情が漂う。(門) 
    --「今週の本棚・新刊:『庭柯のうぐひす』=高祖保・著」、『毎日新聞』2014年03月30日(日)付。

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