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覚え書:「書評:性と法律 角田 由紀子 著」、『東京新聞』2014年03月30日(日)付。


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性と法律 角田 由紀子 著 

2014年3月30日

◆「平等」の冷たい現実
[評者]大橋由香子=フリーライター
 戦前の大日本帝国憲法や旧民法では、女に選挙権はなく、家長(父や夫)に従うしかない無権利な存在だった。戦後の新憲法・新民法によって、女も男と同じ価値をもつ平等な人間になった…はずである。ところが弁護士になった著者は、女への「冷たさと蔑視」をはらむ数々の法律に直面。その具体例が描かれる。
 どれだけ抵抗したかを問う強姦(ごうかん)罪、女性に責任があるかのような見当違いの売春防止法など、法の問題に加え、人々の意識が戦前のままという例もある。結婚したから親の遺産を相続できないと兄に言われた女性が出てくるが(もちろん相続可能)、評者も結婚後は男の姓になるものと誤解していた若者たちに出会う。
 非正規雇用の増加、出産退職を迫る環境など、女性の経済状況は悪くなっている。困窮した女性が性的売買に引き寄せられる状況は、戦前の娘が売られた時代と通じている。女に恥の意識を持たせる雰囲気も権利を主張しにくくさせる。
 それでも、夫婦喧嘩(げんか)とされたドメスティック・バイオレンス(DV)が、精神的暴力も含めDV防止法によって犯罪とされた意義は大きい。女工哀史の時代からの「情交」や「不祥事」が、実は上司からのセクハラだったという発想の転換も起きた。「社会を1ミリ1ミリ変えてきた」女たちと伴走する著者のもどかしさ、具体的な提案、希望が伝わってくる。
 (岩波新書・861円)
 つのだ・ゆきこ 1942年生まれ。弁護士。著書『性差別と暴力』など。
◆もう1冊 
 金井正元著『女性のための法律』(日本評論社)。子ども・職場・家庭と女性のライフステージに応じた法律の解説。
    --「書評:性と法律 角田 由紀子 著」、『東京新聞』2014年03月30日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014033002000173.html:title]

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