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覚え書:「書評:棚田の歴史 通潤橋と白糸台地から 吉村 豊雄 著」、『東京新聞』2014年04月06日(日)付。


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棚田の歴史 通潤橋と白糸台地から 吉村 豊雄 著

2014年4月6日


◆流した汗が作る風景
[評者]祖田修=農業経済学者
 昨今棚田の風景は、多くの都市民にとって、父母のあるいは祖先たちが暮らした懐かしい故里(ふるさと)の原像である。また農村民にとって、今は生活の糧にはなりにくいが、何とか維持したい貴重な資産である。全国棚田百選などで知られるが、本書の舞台は多くの方がテレビ等で見たであろう熊本・通潤橋(つうじゅんきょう)の棚田地帯である。
 本書によれば、その原風景は意外に新しいものであるという。幕末までは、六~十坪程度の田が傾斜地に連なっていたが、維新前後に石垣等でくっきりとした段差がつき、一枚の田もやや広がって、今の美観があるようだ。それは水利技術の高まり、民衆の活気と絆の深まり、米への渇望と畑地の水田化等々が背景にあった。村人は、村役人の鳴らす太鼓を合図に、朝早くから開田にいそしみ、広がったといっても一枚三十坪程度の田で、這(は)いつくばるように働いたのである。
 一筆とは通常、田畑一枚のことを指すが、実はここでは数枚から数十枚のかたまりであること、“朝寝開(びらき)”という遅刻者が罰として開いた田があること等、興味深い話題を入れながら、著者は巧みに読者を棚田の歴史に引き込んでいく。
 その棚田の農業も今、競争と効率化の世の中で、困難に直面している。その活用や保全の方向は定かではないが、新たな都市・農村の連携に、かすかな希望を託すほかはなさそうだ。
 (農文協・3240円)
 よしむら・とよお 1948年生まれ。熊本大教授。著書『幕末武家の時代相』など。
◆もう1冊 
 青柳健二著『日本の棚田 百選』(小学館)。農水省が認定した「百選」を美しい写真とともに紹介する棚田のガイド。
    --「書評:棚田の歴史 通潤橋と白糸台地から 吉村 豊雄 著」、『東京新聞』2014年04月06日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014040602000174.html:title]

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