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覚え書:「Listening:特定秘密保護法 論議低調 国会監視機関、与党間にも隔たり」、『毎日新聞』2014年04月07日(月)付。

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Listening:特定秘密保護法 論議低調 国会監視機関、与党間にも隔たり
2014年04月07日

(写真キャプション)情報保全諮問会議のメンバーの1人が首相に提出した「承諾書」。「会議に参加することにより知り得た秘密は、会議が廃止された後も含めて部外者に漏らさないことを承諾します」とある。毎日新聞の情報公開請求に対して内閣官房が3日開示。メンバーの氏名は非開示だった=青島顕撮影

 今年12月に施行が予定される特定秘密保護法をめぐる国会での論議が低調だ。国会の監視機関づくりは、与党間の協議にもまだ入れず、今国会中に決めることができるのかはっきりしない。また、特定秘密の運用基準作りをするとされた「情報保全諮問会議」は、基準の決定権を持つ首相に「参考意見を述べる場」に過ぎないことが国会答弁で明らかになった。秘密指定を巡るチェック体制の在り方が問われている。【青島顕】

 ◇自民「政府に勧告なし」

 国会が秘密指定の妥当性を監視する機関について、先月下旬になって与野党の案がようやく出てきた。しかし、与党の間でも重要な論点でまだ隔たりが大きい。

 自民党案では、衆参それぞれにつくる監視組織が、外務委員会などから要請があった時だけ活動する。秘密指定が妥当かどうかの判断には踏み込まず、政府側には意見を言うだけだ。

 公明党案は衆参合同の組織が常時、秘密を監視し、秘密指定の妥当性について政府に改善勧告することを盛り込んでいる。

 両党の案を比較すると、自民党案は国会としての監視姿勢がより消極的で、秘密の漏えいが起きないことを重視している。ただ自民党のプロジェクトチーム(PT)内さえ一枚岩とは言えない。先月26日の自民党のPT会合では、座長の町村信孝元官房長官が、米国や英国のような対外情報機関の設置を求め、今後検討していくことになった。

 野党の民主党は国会内に常時監視機関を置くことを否定していないが、それとは別に、行政府内に独立性の高い第三者機関を法律に基づいて設置し、秘密保護の運用をチェックできる強い権限を持たせることが前提条件だとしている。

 国会の監視機関づくりには、国会法の改正が必要だ。同法の改正は例外を除いて全会一致が原則とされる両院の議院運営委員会で審議されるため、あらかじめ与野党間が合意にこぎつける必要がある。

 ◇諮問会議は「意見聴く場」

 「諮問会議はご意見を伺う場となっております」

 特定秘密にかかわるチェック機関のうち、唯一民間の有識者でつくる情報保全諮問会議について、森雅子・特定秘密保護法担当相が先月7日の参院予算委員会で答弁した。

 諮問会議について、政府は昨年12月、「特定秘密を指定するための運用基準案を作ること」がおもな目的だと説明した。ただ、諮問会議については権限や運営方法、役割が明確に定められていなかった。

 先月7日の参院予算委で質問に立った福山哲郎氏(民主)は「(諮問会議の)意思決定はどうやって何に定められているのか」とただした。森担当相は「合議体として意思を決定する場ではない」「運用基準について首相が定めていくために有識者の意見を聴く場だ」と答えた。

 有識者は会議で知った秘密を漏らさないことを記述した「承諾書」を提出しているが、守秘義務はない。メンバーに提示できる秘密の範囲について森担当相は「要望があれば範囲を検討する。すべてお見せするということにはつながらない」と述べた。諮問会議のメンバーは、特定秘密の具体的な内容を知らされないまま基準案を審議することになりそうだ。

 諮問会議は1月17日、7人の有識者を集めて第1回会議が首相官邸で開かれた。その後、現在まで会議は開かれていない。森担当相や内閣官房の説明によると、7人のメンバーからそれぞれ会議とは別の場で意見や質問を受け、事務局が回答するという。事務局と有識者のやりとりは「率直な意見交換を確保するため、公表、公開は予定していない」(森担当相)としている。

 そのうえで、事務局が運用基準などの素案を作成する。第2回会議では、素案に対して有識者が意見を述べる。夏ごろに国民に意見を聴くパブリックコメントが実施され、それを受けて、第3回会議の議論をする。秋ごろ、政府が運用基準を閣議決定する見通しだ。

 ◇特別管理秘密、半年で6.6%増 保護法施行後、特定秘密へ移行か

 特定秘密の前身と位置づけられ、安全保障や外交にかかわる重要情報を政府が指定している「特別管理秘密」の件数が、昨年6月末時点で44万6678件に上り、半年前から2万7691件(約6・6%)増加していたことが分かった。特別管理秘密は2009年から運用され、特定秘密保護法の施行後、その多くが特定秘密に移行するとみられる。

 特別管理秘密は第1次安倍政権が定めた安全保障にかかわる秘密管理の方針に基づいて運用されているもの。昨年6月末時点の内訳は内閣官房が33万6854件、防衛省が5万3060件などで計17省庁が保有している。件数は先月、内閣官房が赤嶺政賢衆院議員(共産)の求めに応じて明らかにした。

 今年末に施行される特定秘密に移行する件数の見通しについて、礒崎陽輔首相補佐官(自民党参院議員)は昨年11月、共同通信のインタビューに「(特定秘密の件数は)約40万件」と話した。約2週間後の毎日新聞のインタビューでは「30万件台」と述べた。特別管理秘密に近い数字だ。一方、同月の衆院特別委員会で、森雅子担当相は「絞りをかけ、現状(特別管理秘密)より数は少なくなる」と述べた。特別管理秘密から特定秘密への移行がどのように行われるかは明らかにされていない。

 特別管理秘密のうち内閣官房の特別管理秘密について、安倍晋三首相は昨年12月の記者会見で「9割は衛星情報。あとの多くは暗号」と述べた。それ以外の特別管理秘密にどのようなものが含まれているかは明らかになっていない。特別管理秘密が増加傾向にあることが、特定秘密の指定件数に影響を与えるのかどうかも不透明だ。

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 ◇特別管理秘密の件数の推移

保有官庁  2012年12月末 2013年6月末

内閣官房    31万8886  33万6854

防衛省      4万7583   5万3060

外務省      1万8504   1万9957

公安調査庁    1万2295   1万3744

警察庁      1万2032   1万2537

海上保安庁      7516     8465

その他11省庁    2171     2061

計       41万8987  44万6678

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 ■ことば

 ◇情報保全諮問会議

 渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆を座長に、学者や弁護士、会社経営者ら7人による首相の諮問機関。特定秘密の指定対象の細目、秘密を扱う公務員らを選別する「適性評価」などの基準を検討するほか、秘密の記録方法なども検討することになっている。法施行後の来年からは年1回、政府から特定秘密の指定件数などの報告を受ける。

 ◇特別管理秘密と特定秘密

 特別管理秘密は各省庁が保有する「国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項」。2009年4月から施行され、法律に基づかず、政府統一基準で運用されている。一方、特定秘密は外交、防衛、特定有害活動(スパイなど)とテロの防止に関して「漏えいが国の安全保障に著しい支障を与える恐れのある」情報。特定秘密保護法に基づいて年末に施行予定。 
    --「Listening:特定秘密保護法 論議低調 国会監視機関、与党間にも隔たり」、『毎日新聞』2014年04月07日(月)付。

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