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覚え書:「今週の本棚・本と人:『官邸危機』 著者・松本健一さん」、『毎日新聞』2014年04月13日(日)付。

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今週の本棚・本と人:『官邸危機』 著者・松本健一さん
毎日新聞 2014年04月13日 東京朝刊

 (ちくま新書・950円)

 ◇リアルな政治を見た記録??松本健一(まつもと・けんいち)さん

 思想家、評論家、大学教授……さまざまな肩書を持つ著者はかつて民主党に請われて菅直人政権の“アドバイザー”に就任していた。肩書は内閣官房参与。非常勤の国家公務員である。本書はそうした「リアル・ポリティクス」に直接関わった約1年間の体験的考察である。

 冒頭部分は2011年3月11日、東日本大震災発生直後の首相官邸の混乱ぶりから書き出されている。それから3年。偶然にも私が著者から指定された面会日もその日の夕刻だった。

 「生の政治に携わった人間として記録に残しておかなければ、との気持ちから書いた。守秘義務があり、全てを書けないが、私は官僚ではない。あくまで『思想家』としての任務を果たそうとしたつもりです」

 民主党政権が最初に実行に移したのは政府と与党の一元化に脱官僚主導だった。しかしその結末は周知の通りである。

 「官僚は優秀だけど、縦割り行政を利用して出身省庁の『省益』を優先していると感じる場面が少なくなかった。『3・11』にしても丸3年たっても、いまだに責任の所在がはっきりしない。官僚独裁体制を打ち倒すことは、『第三の開国』にあたって目指すべき理念としては正しかった」と振り返る。

 「第三の開国」とは、幕末から現代までの歴史を俯瞰(ふかん)した際の国内変革を指す。「政治家は有権者の耳に届きやすい言葉に飛びつくが、もっと長い期間を見据えなければ。日本の風土や歴史を踏まえ、あるべき統治のあり方や歴史観を政権に助言した」。特に第二次大戦敗戦に至る「失敗」を生かし、アジア重視に基軸を置くべきだとの考えは今も変わらない。

 ただ、民主党は政権交代だけを目的化した議員の「乗り合いバス」に過ぎず、「国家統治はおろか、政治決断の責任を負うという政治家の自覚も未熟だった」と指摘する。国民の期待が大きい分だけ、幻滅に転じるのも早かった。

 「私も統治機構を分かっていたつもりでも、内部に属してみると、単なる理論でしかなかった。実際に現場に行ってみないと分からないことはある。どこを突けば人と金が動くかとかプラグマティックな現場を知ることは大きな財産になりました」

 根幹にあるのは徹底した現場主義である。<文と写真・中澤雄大> 
    --「今週の本棚・本と人:『官邸危機』 著者・松本健一さん」、『毎日新聞』2014年04月13日(日)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20140413ddm015070034000c.html:title]

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