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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 進取の精神と柔軟さを=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年04月16日(水)付。


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くらしの明日
私の社会保障論
進取の精神と柔軟さを
人財開発の必須事項

湯浅誠 社会活動家

 4月から法政大学の教授に就任した。所属は現代福祉学部。
 法政大は「自由と進歩」、現代福祉学部は「Well-Being(健康で幸せな暮らし)の実現」を理念に掲げる。前例にとらわれない自由な発想から新たなアイデアが生まれ、その進歩をすべての人々の健康で幸せな暮らしの実現に落としこんでいく。これが、この大学、この学部の精神だと私は理解した。
 さっそく新1年生の初回ゼミでは、屋外に出て、大学構内のフィールドワークを行った。キャンパスを巡りながら20分おきにグループをシャッフルしていく。大学施設を知ると同時に、ゼミ生がお互いに知り合うことを目的とした。ロの字形の机に座って順番に自己紹介するという慣例が、必ずしも「そうしなければならないもの」ではないことを伝えたかったからだ。
 教室に戻った後、学生に従来型と今回の方法のメリットとデメリットを出し合ってもらった。「気軽に話せ、よく知り合えた」「退屈しなかった」「眠くならない」などのメリットを挙げる声と同時に、「疲れる」「全員の顔が見えない」などの指摘も出た。慣例が長く続くには理由がある。大事なことは「そういうものだ」と思考停止に陥らず、目的に照らして企画を検証し続けることだろう。
 2年生の初回ゼミでは、これから1年間で「すべきこと/すべきでないこと」をゼミ生自身に考えてもらった。1人で項目を挙げた後、チームで優先順位をつけ、白板に書き出す。相互に検証し、ゼミ全体のルールを自分たちで決定する。ルールは、「誰かが決定して『下りて』くるものではない」と伝えたかった。
 優先順位をつけるチーム内の話し合いでは、それぞれが自分のメモを見ながら意見を出し合ったため、協議に時間がかかった。カードに1項目づつ書いて、皆でそれを見ながらカードを優先順に並べ替えていけば、耳だけでなく目も活用できて、もっと早く、より参加感と納得感の高い結論を得られたのでないかと振り返った。これからの人生、常に時間の制約を受けながら大事なことを決めていかなければならない。合意形成には創意工夫が必要だ。
 福祉分野に就職するかどうかにかかわらず、前例を当然視しない進取の精神、多様な声を反映させて気づきを高めようとする心構え、状況に合わせて柔軟かつ適切に手法を選択できる豊富なノウハウは、身を立てる必須事項になる。どんな時代や地域でも、自らの役割を見いだし、状況を打開できる「人財(財産となるべき人)」になってもらいたい。そのお手伝いができればと思う。

大学入学 春の新入学シーズンを迎え、今年も約60万人が知の共同体と言われる大学の門をくぐった。世の中が目まぐるしく変化する時代、幸せの感じ方一つとっても前例や他人の「コピペ(コピー・アンド・ペースト)」では対応できない。生き抜く知恵を身につけるのも大学時代だ。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 進取の精神と柔軟さを=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年04月16日(水)付。

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