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覚え書:「どう動く:集団的自衛権・識者に聞く 孫崎享・元駐イラン大使」、『毎日新聞』2014年04月18日(金)付。


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どう動く:集団的自衛権・識者に聞く 孫崎享・元駐イラン大使
毎日新聞 2014年04月18日 東京朝刊

 ◇報復招く軍事手段

 「日本の防衛には日米安全保障条約があり、集団的自衛権の行使を認める必要はない。『米国が一方的に日本を守るだけで、日本は自国の防衛に何ら貢献していない』という主張があるが、日本は憲法上の規定に従って共通の危険に対処すると安保条約で義務付けられている。

 ただ、安保条約には『日本国の施政の下にある領域』で『(日米)いずれか一方に対する武力攻撃』があったときという二つの縛りがかかっている。安倍政権が集団的自衛権の行使を認めようとするのは、これを超えて米国の海外戦略に自衛隊を使うためだ。日米両政府は2005年、『共通の戦略目標』で合意した。国際的な安保環境を改善するために日米で共同行動をとろうとするもので、今の議論はその延長線上にある」

 米国のブッシュ前政権は世界規模で米軍の再編を進め、その一環として、沖縄の海兵隊のグアム移転や普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設・返還で日本と合意した。日米両政府は米軍と自衛隊の役割分担を並行して協議し、日米の軍事的な結び付きが強まった。安倍晋三首相は先月、防衛大学校の卒業式で「日本近海の公海上で米国のイージス艦が攻撃を受けたときに、日本は何もできなくていいのか」と訴えた。

 「一番の問題点は日本に危険を呼び込むことだ。集団的自衛権を行使すれば、いずれかの段階で自衛隊は戦闘行為に入るだろう。相手側に死者が出れば報復を覚悟しなければならない。イラク戦争に参戦したスペインや英国ではテロで多くの市民が犠牲になった。

 仮に北朝鮮が米国に弾道ミサイルを発射した場合、日本が集団的自衛権を行使して迎撃すれば、米国にとってはプラスだ。北朝鮮は日本に報復するのでプラス、マイナスゼロ。しかし、報復攻撃される日本はマイナスにしかならない。

 中国が進出を強める南シナ海を巡って、日米が軍事行動を活発化するために集団的自衛権を利用する可能性もある。日本の集団的自衛権行使が可能になれば、中国は軍部を中心に激しく反発するだろう」

 03年3月に始まったイラク戦争で、政府は陸上自衛隊と航空自衛隊の部隊をイラクなどに派遣した。憲法との関係で「非戦闘地域」での人道復興支援などに活動を限定したが、実際には宿営地に迫撃砲を撃ち込まれる事件も起きた。小泉純一郎首相(当時)は04年11月の党首討論で「自衛隊の活動している地域が非戦闘地域」と答弁し、野党から批判された。

 「安保環境を改善するために集団的自衛権の行使を認めたら、日米安保の対象地域は、日本の施政下から全世界に拡大するだろう。集団的自衛権は、米国の軍事目的のために自衛隊を雇い兵のように使うシステムだ。しかし今日、軍事的手段では安保環境の改善は見込めない。イラク戦争もアフガン戦争も失敗した。日本は紛争の政治的解決を図る外交努力で貢献すべきだ」

 集団的自衛権の行使が可能になれば、自衛隊の活動範囲はどこまで広がるのか。「地球の裏まで行くことは普通考えられないが、日本に非常に重大な影響を与える事態なら完全に排除はしない」(自民党の石破茂幹事長)という意見がある一方、菅義偉官房長官は11日のテレビ番組で「あり得ない」と否定した。【構成・福岡静哉、写真・徳野仁子】=随時掲載

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 ■人物略歴

 ◇まごさき・うける

 1943年、旧満州生まれ。東京大中退。外務省国際情報局長、駐ウズベキスタン大使などを歴任し、2002年から09年まで防衛大学校教授。著書に「戦後史の正体」「小説外務省 尖閣問題の正体」など。 
    --「どう動く:集団的自衛権・識者に聞く 孫崎享・元駐イラン大使」、『毎日新聞』2014年04月18日(金)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20140418ddm002010168000c.html:title]

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