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覚え書:「どう動く:集団的自衛権・識者に聞く 小林節・慶応大名誉教授」、『毎日新聞』2014年04月19日(土)付。


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どう動く:集団的自衛権・識者に聞く 小林節・慶応大名誉教授
毎日新聞 2014年04月19日 東京朝刊

(写真キャプション)集団的自衛権についてインタビューに答える小林節・慶応大名誉教授=東京都千代田区で2014年4月14日、中村藍撮影

 ◇憲法改正し行使を

 「国連が世界を一つに束ねられたらいいが、その理想はいまだに実現していないので、価値観の一致する国が集団的自衛権を行使して国際秩序を維持するしかない。日本は世界第3位の経済大国で、国連分担金の拠出額は米国に次いで第2位。戦後、資源のない日本が豊かに再発展できたのは、米国はじめ世界の国々のおかげだ。大きな責任がある。国際平和を維持するために、日本が何もしないわけにはいかない。現実的に考えれば、限定した条件のもとで集団的自衛権を行使できるようにすべきだ」

 国連憲章は、加盟国に対する武力攻撃が発生した場合、安全保障理事会が国際平和と安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的・集団的自衛権の行使を認めている。いわば各国の自衛権は国連による集団安全保障の補完的な位置付けだが、現実の国際政治の舞台では拒否権を持つ常任理事国(P5)の思惑が絡み、正規の国連軍はこれまで一度も設立されていない。

 「しかし、憲法解釈変更で集団的自衛権の行使を認めようというのは論外だ。わが国は第二次世界大戦に負けて、現行憲法を押し付けられた。『二度と侵略者になるな』というのが9条の立法趣旨だ。9条1項で自衛のための戦争は留保したが、2項で海外派兵が前提の交戦権を否認している。したがって、海外で武力を使うことになる集団的自衛権行使は、今の憲法ではあり得ない。

 尖閣諸島(沖縄県)は米国にとっても重要だ。中国が軍事的に手を伸ばしてきたら、米国は日米安全保障条約に従って排除するだろう。また、朝鮮半島有事はすなわち日本の有事だから、個別的自衛権で対応できる。日本の集団的自衛権行使がすぐ必要になる場面はない。安倍晋三首相はまず96条の憲法改正要件を緩和しようとして失敗したので、改憲がだめなら解釈変更で、という本性が表れた。しかし、憲法の枠を越えてしまったら、それは解釈とは言えない」

 国際法上の交戦権は「戦いを交える」という狭い意味ではなく、「交戦国が国際法上持つ権利の総称」と考えられている。敵国での占領行政や、中立国の船舶の立ち入り検査(臨検)なども交戦権に含まれる。首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は集団的自衛権に基づく臨検を認める立場だが、首相は3月4日の参院予算委員会で、「臨検は参戦につながる」という野党の追及を「憲法との関係を議論している」とかわした。

 「集団的自衛権の行使には憲法改正が必要だ。9条を(1)間違っても他国を侵略しない(2)わが国への侵略に対する自衛戦争はする(3)そのために自衛軍を持つ(4)自衛軍による国際貢献は国連決議と国会の事前承認を条件とする--という4項に改め、どんな政権ができてもいいように憲法でがっちり歯止めをかける。自民党が2012年4月に発表した憲法改正草案のように、海外派兵を法律に委ねたら、国会の過半数の賛成で変えられてしまう」

 自民党の改憲草案は9条で、自衛隊に代わる「国防軍」が「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」をできると規定。具体的な活動内容は法律で定めることとした。しかし、「当時野党だったから書けた案」と実現性を疑問視する同党議員は少なくない。【構成・念佛明奈、写真・中村藍】=随時掲載

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 ■人物略歴

 ◇こばやし・せつ

 1949年、東京都生まれ。慶応大卒。改憲の立場だが、憲法96条改正に反対する学者らでつくる「96条の会」発起人の一人。弁護士としても活動している。「憲法守って国滅ぶ」など著書多数。 
    --「どう動く:集団的自衛権・識者に聞く 小林節・慶応大名誉教授」、『毎日新聞』2014年04月19日(土)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20140419ddm002010090000c.html:title]

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