« 覚え書:「書評:ヘイトスピーチ エリック・ブライシュ 著」、『東京新聞』2014年04月20日(日)付。 | トップページ | 書評:師岡康子『ヘイト・スピーチとは何か』岩波新書、2013年。 »

覚え書:「今週の本棚・新刊:『音樂は愉し 黎明期音盤収集家随想』=野村あらえびす・著」、『毎日新聞』2014年04月20日(日)付。


2

-----
 
今週の本棚・新刊:『音樂は愉し 黎明期音盤収集家随想』=野村あらえびす・著
毎日新聞 2014年04月20日 東京朝刊

 (音楽之友社・2160円)

 「銭形平次捕物控」で知られる野村胡堂。この時代小説の大家は、もう一つの顔を持っていた。レコード評論家野村あらえびすだ。本書は60年以上前、音楽之友社から「音樂文庫」第70巻として出版された後、絶版となっていた随想集を復刻した。

 小学生の時に初期の蓄音機「蝋管(ろうかん)」を聞いた体験談から、第二次世界大戦中、自宅でこっそり青年たちとストラヴィンスキーを楽しんだことまで、筆は尽きることを知らない。多岐にわたる記述は、黎明(れいめい)期における日本のレコード音楽史そのものといえる。

 心を揺り動かされるのが、「K子と野薔薇(ばら)」だ。シューベルトの歌曲「野バラ」のレコードが好きだったあらえびすの次女。しかし、なぜか嫁入りの時、このレコードを実家に置いていく。嫁ぎ先に届けることができない間に、彼女は病気で早世する。久方ぶりに「野バラ」を聴くあらえびす。「耳から来る連想の鮮明さ」に我慢できず、途中で蓄音機のスイッチを切る。

 一枚一枚のレコードには旋律とともに、聴く者の思い出も深く刻まれている。そのことをあらえびすは私たちに教えてくれる。(広)
    --「今週の本棚・新刊:『音樂は愉し 黎明期音盤収集家随想』=野村あらえびす・著」、『毎日新聞』2014年04月20日(日)付。

-----

[http://mainichi.jp/shimen/news/20140420ddm015070017000c.html:title]

Resize0870


音樂は愉し: 黎明期音盤収集家随想
野村 あらえびす
音楽之友社
売り上げランキング: 98,394

|

« 覚え書:「書評:ヘイトスピーチ エリック・ブライシュ 著」、『東京新聞』2014年04月20日(日)付。 | トップページ | 書評:師岡康子『ヘイト・スピーチとは何か』岩波新書、2013年。 »

覚え書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/451663/55919911

この記事へのトラックバック一覧です: 覚え書:「今週の本棚・新刊:『音樂は愉し 黎明期音盤収集家随想』=野村あらえびす・著」、『毎日新聞』2014年04月20日(日)付。:

« 覚え書:「書評:ヘイトスピーチ エリック・ブライシュ 著」、『東京新聞』2014年04月20日(日)付。 | トップページ | 書評:師岡康子『ヘイト・スピーチとは何か』岩波新書、2013年。 »