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覚え書:「犬が私たちをパートナーに選んだわけ [著]ジョン・ホーマンズ [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家)」、『朝日新聞』2014年04月20日(日)付。


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犬が私たちをパートナーに選んだわけ [著]ジョン・ホーマンズ
[評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家)  [掲載]2014年04月20日   [ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝 


■自然からの使者、関係が一変

 この冬、一匹の若い犬を連れて一緒に橇(そり)をひきながらグリーンランド北西部を旅していた。白熊が来た時に吠(ほ)えてもらうための番犬だ。賢いのかどうかはよくわからなかったが、でも複雑な感情を有する大事なパートナーであることにまちがいはなかった。
 考えてみると不思議な動物だ。人間と共存することを選択し、人間から友と呼ばれるまでの信頼を勝ち取った唯一の存在。もともと私は「猫派」だが、先史時代に人間と犬がいかに協力して生き抜いてきたのかには興味はあった。しかし本書には犬の起源の他にも、人間と犬を取り巻くそれ以上のことが報告されていて考えさせられた。
 なるほどと唸(うな)ったのは犬が人間にとって自然との橋渡しをする存在だという指摘だ。先史時代の遺跡には人間と犬が一緒に埋葬されていた例もあるらしく、オオカミから進化した犬は文字通り自然からの使者だったという。ところが現代においてその関係は一変した。犬を愛玩犬として飼うしかなくなった人類は自分の好みに合わせて様々な犬種を造りだし、気がつくと周りは障害をもつほど奇形化した犬種ばかり。さらにペットとして不要と判断すれば見えないところで大量に殺す。
 こうしたことを私たちは知ってはいたが、気づかないふりをしていた。あるいはどうでもいいことだと考えていた。だがそこには自然から切り離された人間が自然からの使者を持て余し、扱いきれなくなった異様な姿が映し出されている。もはや人間には犬を飼う資格はないのではないかと思わずにはいられない。
 翻って、今度の旅での自分と犬との関係を振り返った。氷点下40度の寒さの中で殴ってでも橇を引かせることは、人間と犬の本来的な関係であれたといえるのか。過剰な動物愛護には辟易(へきえき)だ。でも原始人の時からの友の将来に思いをはせることは我々の責務なのかも……とも思う。
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 仲達志訳、阪急コミュニケーションズ・2700円/John Homans 米国のジャーナリスト。
    --「犬が私たちをパートナーに選んだわけ [著]ジョン・ホーマンズ [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家)」、『朝日新聞』2014年04月20日(日)付。

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[http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2014042000003.html:title]

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