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覚え書:「書評:小さな異邦人 連城 三紀彦 著」、『東京新聞』2014年04月27日(日)付。


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小さな異邦人 連城 三紀彦 著

2014年4月27日

◆抒情と仕掛けの魅力
[評者]末國善己=文芸評論家
 昨年十月に惜しまれつつ亡くなった連城三紀彦の最後の贈り物は、まさに“珠玉”と呼ぶにふさわしい短篇集である。
 別れた妻に似た女が、街中で指輪を捨てるのを見た男を描く「指飾り」、新潟の温泉町に現れた女が、不可解な行動を取る「無人駅」、駅員が不倫相手と旅行すると、同じ行き先の切符を買う女が現れる「さい涯(は)てまで」は、一見するとミステリー的な要素がないので、ラストに明かされる仕掛けに驚かされるはずだ。
 逆に、交換殺人を題材にした「蘭が枯れるまで」、夢で殺人事件を見た女を主人公に、幻想と論理を鮮やかに接続した「冬薔薇(ふゆばら)」、悪い噂(うわさ)が多い課長に、通り魔殺人の犯人という噂が加わる「風の誤算」は、ミステリーの技法を極限まで研ぎ澄ましたどんでん返しの連続が光る。
 そして、娘がいじめられるのを心配する女が、母の浮気を疑った父が無理心中を図った過去を思い出す「白雨(はくう)」、大家族に子供を誘拐したとの脅迫電話がかかってくるも、誰も誘拐されていない奇妙な事件を描く表題作は、短篇ミステリーのオールタイムベスト級の完成度だ。
 ミステリーと恋愛小説を得意とした著者らしく、収録の八篇は、抒情(じょじょう)性豊かな物語と予想もつかない結末の両方が楽しめるようになっている。そのため、ミステリーファンはもちろん、小説を愛するすべての人が魅了されることだろう。
(文芸春秋・1728円)
 れんじょう・みきひこ 1948~2013年。作家。著書『美女』『隠れ菊』など。
◆もう1冊 
 連城三紀彦著『恋文・私の叔父さん』(新潮文庫)。恋愛小説として高い評価を得た直木賞受賞作を改題。五篇を収録。 
    --「書評:小さな異邦人 連城 三紀彦 著」、『東京新聞』2014年04月27日(日)付。

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