« 覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『ある文人学者の肖像-評伝・富士川英郎』=富士川義之・著」、『毎日新聞』2014年05月04日(日)付。 | トップページ | 覚え書:言語を使ってものを考えることができるということ、それが絶望の淵にあってもわたしたちを救う(多和田葉子さんの「ハンナ・アーレント」) »

覚え書:「今週の本棚・新刊:『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件』=中村一成・著」、『毎日新聞』2014年05月04日(日)付。

2

-----

今週の本棚・新刊:『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件』=中村一成・著
毎日新聞 2014年05月04日 東京朝刊

 (岩波書店・1944円)

 「死ね」「帰れ」などの連呼で社会問題化しているヘイトデモやヘイトスピーチ。その原点の一つとされる事件について、被害者の肉声を丹念に集めて裁判までを追った。著者は元新聞記者のジャーナリスト。

 2009年12月4日、京都朝鮮第一初級学校に「在特会」のメンバーらが押しかけ、一方的に怒号を浴びせた。「こらチョンコ」「日本に住ましたってんねや」「このボケ!」。学校側と会話は成立しない。著者は器物損壊や威力業務妨害の現行犯を放置した警察を「共犯的な寛容さ」と繰り返し批判する。京都市は逃げに徹したとも指摘。戦前回帰志向のような中央・地方の政治家の台頭と相まって「何をやっても大丈夫」とのおぞましい風潮が生まれていく。

 保護者や教師たちはリスク覚悟で法的措置に踏み切り、子供たちの尊厳を守った。京都地裁は昨年10月、在特会の活動を人種差別と断じた。ナチスの大虐殺も皇国日本の侵略も、端緒を無名の市民が傍観(つまり許容)し、そこに為政者たちがつけ込んだ面がある。人間の尊厳を奪う暴力は、必ず我が身に返ってくる。私たちは今、まさに分岐点に立っていると教えてくれる。(鶴)
    --「今週の本棚・新刊:『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件』=中村一成・著」、『毎日新聞』2014年05月04日(日)付。

-----


[http://mainichi.jp/shimen/news/m20140504ddm015070038000c.html:title]

Resize0987


ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件――〈ヘイトクライム〉に抗して
中村 一成
岩波書店
売り上げランキング: 37,015

|

« 覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『ある文人学者の肖像-評伝・富士川英郎』=富士川義之・著」、『毎日新聞』2014年05月04日(日)付。 | トップページ | 覚え書:言語を使ってものを考えることができるということ、それが絶望の淵にあってもわたしたちを救う(多和田葉子さんの「ハンナ・アーレント」) »

覚え書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/451663/56062647

この記事へのトラックバック一覧です: 覚え書:「今週の本棚・新刊:『ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件』=中村一成・著」、『毎日新聞』2014年05月04日(日)付。:

« 覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『ある文人学者の肖像-評伝・富士川英郎』=富士川義之・著」、『毎日新聞』2014年05月04日(日)付。 | トップページ | 覚え書:言語を使ってものを考えることができるということ、それが絶望の淵にあってもわたしたちを救う(多和田葉子さんの「ハンナ・アーレント」) »