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覚え書:「今週の本棚・新刊:『舞台の上の文化』=橋本裕之・著」、『毎日新聞』2014年05月04日(日)付。


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今週の本棚・新刊:『舞台の上の文化』=橋本裕之・著
毎日新聞 2014年05月04日 東京朝刊

 (追手門学院大学出版会・2700円)

 東日本大震災の被災地での民俗芸能支援などでも知られる研究者が、「まつり」、民俗芸能、博物館の現状を分析し、現場にある可能性を追い求めた論集である。

 本書は、研究者らが対象に不変で「正しい」実体を要求する姿勢を相対化する。たとえば、民俗芸能は、観光産業の要請や行政、研究者らの視線、地元の要求それぞれに応じた意味を付与され、形を変えてきた。新たに「伝統」を創造して誕生した民俗芸能もある。観光産業化や「偽物の民俗」を批判しても無意味。現代の民俗芸能は、第三者に見られて、「舞台」の上に立たされて初めて存在するのだから。他方、著者は、既存の研究者らの自己の視点のいわば特権化、あるいは偏向への無自覚さにいらだちを隠さない。

 博物館展示のイデオロギー分析への批判や、展示担当者と来館者の意識のズレについての指摘は、そのまま世の多くのマスメディア批判への反論や、マスメディアと読者・視聴者との関係を考える際も当てはまるだろう。あらゆる現場を貫徹する微細な政治をどう読み、主体としてどう振る舞うか、さまざまな人の参考になる本だと思う。(生)
    --「今週の本棚・新刊:『舞台の上の文化』=橋本裕之・著」、『毎日新聞』2014年05月04日(日)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20140504ddm015070022000c.html:title]

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舞台の上の文化―まつり・民俗芸能・博物館
橋本 裕之
追手門学院大学出版会
売り上げランキング: 24,425

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