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覚え書:「今週の本棚・本と人:『東日本大震災からの真の農業復興への挑戦 東京農業大学・相馬市編』 著者代表・門間敏幸さん」、『毎日新聞』2014年05月11日(日)付。

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今週の本棚・本と人:『東日本大震災からの真の農業復興への挑戦 東京農業大学・相馬市編』 著者代表・門間敏幸さん
毎日新聞 2014年05月11日 東京朝刊

 (ぎょうせい・3780円)

 ◇農家の信頼得た実践の記録--門間敏幸(もんま・としゆき)さん

 東京農業大学が、東日本大震災の津波と放射性物質で甚大な被害を受けた福島県相馬市の農業復興の支援に取り組み始めて、今年5月で丸3年になる。震災後に被災地の調査に入った大学は多いが、同大学がユニークなのは、単なる被害報告のまとめや学術論文の発表を目的とせず、地元の相馬市と二人三脚で、農業基盤の復旧、農業の復興に包括的に取り組んだことだ。

 「消防士が火を見てまず消火するのと同じで、我々も被災現場に立ったら、復興させることを最優先すべきだと考えました。火事現場で消火の一番良い方法を議論しても無意味です」

 元々、同大学と相馬市は特段つながりはなく、震災を機に大学側が支援を申し入れたのが始まりだった。「最初は、単なる視察のご一行だろうと思われていたかもしれない」という。

 同大学教授として支援プロジェクトのリーダーに就く一方、現地入りして被災農家の実態調査に着手した。津波をかぶった水田に積もった土砂の除去には大変な費用と手間がかかり、当時被災農家が最も頭を悩ませていた。この悩みを聞いた同大学では、土砂に有害物質が含まれないことを確かめた上で、除去せず田に混ぜ込んでしまい、除塩も雨水に任せる簡便で迅速な復旧方法を提唱。再開した稲作でめざましい成果を示すなど、次々と成果を示し始めた。

 放射線量が高い地区での営農再開に当たっては、宿泊拠点となる民家を借り上げた上で学生を動員し、全農地一筆ごとに線量を調査。結果を住民に知らせる膨大な作業をこなした。「重要なのは農家が土地の状況を正しく知り、作物を作ること。最悪の選択肢は、作付けをやめてしまうことです。それは農地の荒廃だけではなく、農家の心の荒廃をもたらします」

 農家も二の足を踏む調査を率先して行い、結果を知らせ、そして営農再開を励まして歩く。その姿勢は、相馬市の立谷秀清市長が「地区の人々は私の言うことを聞いてくれなくとも、門間教授のアドバイスには従う」と記すほど、市民の間で高い信頼を獲得する原動力となった。

 活動の成果をまとめたのが本書だが、支援に期限は設けていない。「3年くらい後に、今度は復興から新たな農業をどう作れたか報告できたら、と思います」<文と写真・三島健二> 
    --「今週の本棚・本と人:『東日本大震災からの真の農業復興への挑戦 東京農業大学・相馬市編』 著者代表・門間敏幸さん」、『毎日新聞』2014年05月11日(日)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20140511ddm015070046000c.html:title]

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