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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 外国人労働者に感謝を=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年05月21日(水)付。


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くらしの明日
私の社会保障論
外国人労働者に感謝を
必要ならばモノ扱いやめよう

湯浅誠 社会活動家

 リーマン・ショックのとき、製造業などで働いていた大量の外国人労働者が解雇の憂き目にあった。多くは、親や祖父母が日本人の日系人だった。
 再雇用のメドが立たない中、困った政府は「帰国費用として30万円あげるから戻って来ないように」という趣旨の事業を打った。渡航費用を援助する代わりに、同じ資格での再入国を当面認めないという内容だった。これを「日系人帰国支援事業」と言った。2万人超の日系ブラジル人らが、その事業で帰国した。
 あれから5年余り。今、建設業など人手不足業種で、再び外国人労働者を活用しようとする機運が高まっている。政府の国家戦略特区諮問会議も在留資格要件を緩和する方向で提言を準備中と報じられている。
 再入国を認めなかったはずの先の事業も、昨年10月に「一定の条件の下で再入国を認める」と方針転換した。
 どうも釈然としない。東京オリンピック招致活動で注目を集めた「おもてなし」は、観光で来日する外国人にも幅広く使われ、日本人の温かさを示すセールスポイントの一つとされる。それは大変結構なことだ。
 では、私たちは外国人労働者をもてなす用意があるのだろうか。日本の外国人労働者政策は長く、移民を厳しく制限するとともに、雇用の調整弁として外国人労働者を「活用」するというものだ。「労働力は欲しいが、労働者(生活者)はいらない」と言っているようなものだ。
 でも、外国人労働者は人間だ。労働力と労働者を切り離すような対応を続けることが、世界における日本の評判を高めるだろうか。帰国支援事業で帰った日系人たちは、今度ブラジルで行われるワールドカップサッカーで日本チームを応援してくれるだろうか。
 建設業でも介護でも、日本人がやりたがらない、間に合わないから、来てもらおうと話している。そして、私たちの生活を支えるインフラを整えてもらおうと言っている、急激な少子高齢化の中、一定の移民政策は今後避けられないものでもあるだろう。日本の国力を下支えしてもらうために、私たちは外国人を必要としている。
 「人手不足なので外国人労働者を」という、せっけんがなくなったから買ってこようみたいなモノ扱いを改めることによってこそ、オリンピックに向けて真に取り組むべきことではないだろうか。
 貴賓のようにもてなせとは言わない。しかし、これから来てくれる外国人労働者の方たちには、せめて「来てくれてありがとう」と、母国から遠く離れて暮らし続ける労をねぎらう言葉をかけられる国民でありたい。

在留資格要件の緩和 12日の国家戦略特区諮問会議で、外国人のうち起業家や家事労働者らを対象に在留資格要件を緩和するよう民間議員が提案した。安倍内閣の成長戦略の一つだが、景気次第で外国人労働者政策が頻繁に方針転換されれば国内外からの批判は必至だ。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 外国人労働者に感謝を=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年05月21日(水)付。

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