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拙文「書評 ハンナ・アーレント 矢野久美子・著」、『聖教新聞』2014年05月24日(土)付。

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書評
ハンナ・アーレント
矢野久美子著

自分で「考える」契機生む

 20世紀を最も真摯(しんし)にかつ激しく生き抜いた女性哲学者の代表こそハンナ・アーレントであろう。
 ユダヤ人ゆえにドイツから亡命し、人間を「無効化」する全体主義と対決した。『全体主義の起原』『イェルサレムのアイヒマン』といった労作は、思想史を大きく塗り替えたが、どこまでも難解である。その強靱(きょうじん)で根源的な思索(しさく)の軌跡(きせき)を生き生きと浮かび上がらせる本書は、アーレントを理解するうえで頼もしい水先案内となってくれる。
 20世紀は戦争と革命の世紀と呼ばれるが、ナチのユダヤ人の大量殺戮(さつりく)をはじめとする暴挙は、狂気じみた悪魔によって遂行された訳ではない。平凡な人間が自分の頭でものを考えるのをやめてしまった時、眼を覆(おお)う殺戮は命令された「業務」にすぎなくなる。アーレントの思索は、言語を使ってものを考えることの大切さを語り続けている。
 「アーレント誠実に向き合うということは、彼女の思想を教科書とするのではなく、彼女の思想に触発されて、私たちそれぞれが世界を捉え直すということだろう」と著者はいう。
 本書を介し、アーレントと対話することで「考える」きっかけをつかむことができる。(氏)
 ●中公新書・886円
    --拙文「書評 ハンナ・アーレント 矢野久美子・著」、『聖教新聞』2014年05月24日(土)付。

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