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覚え書:「今週の本棚・本と人:『天地雷動』 著者・伊東潤さん」、『毎日新聞』2014年05月25日(日)付。


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今週の本棚・本と人:『天地雷動』 著者・伊東潤さん
毎日新聞 2014年05月25日 東京朝刊

 (角川書店・1728円)

 ◇多視点で迫った長篠の戦場--伊東潤(いとう・じゅん)さん

 戦国時代のターニングポイント、織田、徳川連合軍に戦国最強といわれた武田軍が敗れた長篠の戦い。長篠後、武田家が滅びるまでを追った『武田家滅亡』(2007年)、武田家末期の武将たちの苦悩をつづった『戦国鬼譚(きたん) 惨』(10年)など、武田家を描いてきた作家が満を持して長篠の戦いに挑んだ。

 「なぜ武田勝頼が連吾(れんご)川を越えて設楽原(したらがはら)に出たのか。なぜあれほど不利な状況で突撃をしたか。この二つが長篠の戦いにおける大きな謎です。これを物語の柱にしました」

 羽柴秀吉、徳川家康、勝頼、そして武田軍の一員で鉄砲隊的役割を担う地侍宮下帯刀(たてわき)の4人の姿を、武田信玄の死から長篠の戦いまで刻々と追っていく。

 秀吉は、織田信長から鉄砲3000張(はり)をそろえろと命じられる。「できない」と言えば出世はこれまで。「サラリーマンの悲哀ですね。頭の底まで絞り尽くせば知恵も浮かび、ブレークスルーできる。そうしなければ秀吉は生き残れなかった」。家康は、信玄と信長の間で戦いを強いられてきた。「家康は幼少期から人質になり、長じてからは信長、秀吉らが身近にいる。凡庸な己を知ることで活路を見いだす。峠を越えるように一歩一歩上っていく。そういう人生もあることを提示したかった」

 一方で勝頼は、信玄によって取り立てられた宿老と、自らの取り巻きとの対立に手を焼いている。「2代目の悩みですね」。最後に「現場視点として」、帯刀を登場させた。「従来の歴史小説は常に司令官視点で、最前線が見えないことが読んでいてストレスだった。今回は『長篠の戦場にお連れしましょう』とキャッチフレーズ的に言っています。そのためには現場の視点が必要でした」

 先んじた織田軍の準備や鉄砲に必要な硝石の生産状況、武田家の内輪もめなどを周到に配置して、長篠の戦いに収束していく。待ち構える鉄砲隊の餌食になる宿老たちと、ひたすら戦いながら敗走する帯刀らのあわれさに、涙を禁じ得ない。

 07年に作家デビュー。当初は戦国の関東を扱った作品が多かったが、今や幅広い題材を描く堂々たる歴史小説作家。「勝負どころです」<文・内藤麻里子/写真・藤原亜希>    --「今週の本棚・本と人:『天地雷動』 著者・伊東潤さん」、『毎日新聞』2014年05月25日(日)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20140525ddm015070014000c.html:title]

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