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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 年金“多段階保険料”に」、『毎日新聞』2014年05月28日(水)付。


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くらしの明日
私の社会保障論
年金“多段階保険料”に
支払い能力に対応 滞納防止
宮武剛 目白大大学院客員教授

 もう20年余り「年金をもらうな」キャンペーンを一人で続けている。正確には「年金を『もらう』と言うのはやめよう」運動である。保険料を納め、その見返りに年金を受け取る仕組みなのに、なぜ誰もが「もらえる」「もらえない」と語るのか。
 典型は専業主婦(第3号被保険者、主夫も含む)だ。自分で保険料を払う必要がなく、夫を含む被保険者(第2号)全体の負担で基礎年金が支給される。「もらう」思いも無理はない。
 国民年金では「自営業者の所得把握が難しい」として、保険料は創設以来一律定額(現在は月1・5万円)。支払い能力は無視され、老齢基礎年金の半額(2008年度までは3分の1)が国庫負担だ。応能負担の原則に反する設計や高率の補助が負担と給付の緊張関係をゆがめ「もらう」意識の温床になる。
 厚生年金も、保険料は給与天引きで税金同様になり給付時は「もらう」気になりがちだ。
 専業主婦の負担を肩代わりする第2号には共働きや独身も含まれ、不満や批判は収まらない。
 受給者の「もらう」気が支給側を「あげる」気にさせる。旧社会保険庁の年金記録問題は、コツコツ納めた権利を粗末に扱った「あげる」意識の許しがたい結末だった。
 社会保険方式の年金の創始国ドイツでは制度ごとに被保険者が代表を選び、自治組織として運営される。政府が負担や給付を定めるので自治の裁量権はわずかだが、「もらう」意識は生じるわけがない。
 今年は5年ごとの「財政検証」にあたり、制度の持続可能性を点検しながら改革案が議論される。その際「あげる年金」から「受け取る年金」へ、理念も仕組みも改めて問い直すべきだ。
 最難関は滞納者が相次ぐ国民年金である。共通番号制度の導入などで所得把握を高めながら、支配能力に応じた保険料率への切り替えを模索したい。
 当面は全額、4分の3、半額、4分の1の「多段階免除」をもっと活用すべきだ。極端な例だが、家計が苦しく40年間ずっと半額納付でも老齢基礎年金の満額(月額6・4万円)の半分は国庫負担で、残り約3・2万円の半分も半額納付の見返りに支給される(計4・8万円)。
 この救済策はPR不足で、全額免除(申請)者は約240万人だが、4分の3は26万人、半額は15万人、4分の1は7万人にすぎない(12年度末)。
 「免除」と言うより「払うのが難しい時は保険料は4分の1、半額、4分の3になりますよ」と説明する方がはるかに理解を得やすい。滞納を防ぐためにも、支払い能力に応じた“多段階保険料”へ実質的に切り替えてはどうか。

国民年金と基礎年金 自営業者、零細な個人事業所従業員、非正規労働者らは国民年金に加入し、一定条件の下で基礎年金を受け取れる(老齢、生涯、遺族の各基礎年金)。保険料の納付率は59%(12年度、2年間の追納可能)。会社員らの厚生年金、公務員らの共済年金に加入すると自動的に国民年金にも入ることになる。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 年金“多段階保険料”に」、『毎日新聞』2014年05月28日(水)付。

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