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覚え書:「書評:ダンスシューズで雪のシベリアへ サンドラ・カルニエテ 著」、『東京新聞』2014年5月18日(日)付。


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ダンスシューズで雪のシベリアへ サンドラ・カルニエテ 著

2014年5月18日

◆ラトヴィアに生きる
[評者]志摩園子=昭和女子大教授
 この家族の物語を読んで、ある情景を思い出した。一九九○年代半ば、バルト三国の一つラトヴィアの国立歴史公文書館で、受付の長い行列を不思議に思ったことがある。学芸員に何事かと尋ねると、ソ連時代の個人ファイルの確認をするために待っている、と。著者と同様、家族の記録と辛(つら)くも直面していた人々の姿が、ひしひしと伝わってくる情景だ。
 この物語は、ある家族の歩んだ歴史を通してロシア帝国からラトヴィアが独立、旧ソ連の抑圧と支配、ナチス・ドイツによる支配、再びソ連の支配と翻弄(ほんろう)された二十世紀ラトヴィアの歴史を描いている。なぜラトヴィアに侵攻したナチス・ドイツ軍が一時的に解放者として歓迎されたか、第二次世界大戦中に祖国ラトヴィアを去った人がいかに多かったか、本書でその理由がわかる。幼い日にはソ連のプロパガンダの影響を受け、スターリン批判後に漸(ようや)くラトヴィアの地を踏んだ著者は、今では欧州を舞台に活躍する。彼女が痛切に書き残したかった自身の家族の物語は、この時代を生きた多くのラトヴィア人のそれでもある。
 NATOのバルト三国、ポーランドでの軍事演習を歓迎するラトヴィア外務省の最近のニュースは、ウクライナの危機が他人事(ひとごと)ではないというメッセージともとれる。国際情勢に翻弄されながら必死に生きた人々の声は忘れてはならない。
(黒沢歩訳、新評論・3780円)
 Sandra Kalniete 1952年生まれ。ラトヴィア外相などを経て、欧州議会議員。
◆もう1冊 
 原翔著『バルト三国歴史紀行(2)ラトヴィア』(彩流社)。自由都市リーガを軸にロシアやユダヤとの関係史を描く。
    --「書評:ダンスシューズで雪のシベリアへ サンドラ・カルニエテ 著」、『東京新聞』2014年5月18日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014051802000174.html:title]

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