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覚え書:「書評:評伝 バルテュス クロード・ロワ 著」、『東京新聞』2014年06月01日(日)付。


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評伝 バルテュス クロード・ロワ 著

2014年6月1日


◆違和感漂う絵の秘密
[評者]中村隆夫=美術評論家・多摩美術大教授、西洋美術史
 膝を立てて下着を見せながら何食わぬ顔をして椅子に座る少女、市井の人々を描きながら非現実感を醸し出す街の風景など、どこか居心地の悪さや違和感を覚えさせるところにバルテュスの作品の魅力がある。
 著者はこの画家について、気高さを持ちながらも他者から距離を置く気質を持ち、時代に迎合することがない人物であると看破している。さすが文学者で評論家のクロード・ロワは慧眼(けいがん)の士である。また三十三歳年長のリルケとの関係も、書簡などが紹介されており興味深い。
 本書は、一九九七年に同社から翻訳出版された『バルテュス 生涯と作品』の翻訳を一部改訂して、テキストだけを独立させたものである。本文中で、一九二九年と三三年の《街路》、その二十年後に描かれた《コメルス・サン・タンドレ小路》のタッチ、色彩、人物の配置について詳細な比較が行われている。有名な作品であるとは言え、よほどバルテュスに通暁していないかぎり、図版なしでは理解できないだろう。しかも、作品の様式分析に関わる記述はかなり多い。
 画家の東洋への関心や気質に関する部分は理解しやすく楽しみながら読める。だが、それは全体の半分にも満たない。出版にあたって、なぜテキストだけで通用すると判断したのだろうか。
(與謝野文子訳、河出書房新社・2592円)
 Claude Roy 1915~97年。フランスの作家・詩人・評論家。
◆もう1冊 
 A・ヴィルコンドレ著『バルテュス、自身を語る』(鳥取絹子訳・河出書房新社)。日本人の妻のことから芸術論まで。
    --「書評:評伝 バルテュス クロード・ロワ 著」、『東京新聞』2014年06月01日(日)付。

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