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覚え書:「今週の本棚・本と人:『教誨師』 著者・堀川惠子さん」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。


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今週の本棚・本と人:『教誨師』 著者・堀川惠子さん
毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊

 (講談社・1836円)

 ◇死刑執行の現場生々しく--堀川惠子(ほりかわ・けいこ)さん

 およそ半世紀、死刑囚たちと対話を重ね、執行の現場にも立ち会った教誨師(きょうかいし)、渡邉普相(ふそう)(2012年没)の生涯を追ったノンフィクション。死刑とはなにか、私たちとどのように関わっているかを訴えてくる。

 渡邉と死刑囚の会話が再現される。受刑者たちの生い立ちや罪を犯すまでの経緯が浮かび上がる。また渡邉の何気ない一言で、相手の不信を買い教誨の機会を失ってしまったこともある。

 渡邉の重い口を開かせただけでなく、ひそかにつけていた「日誌」の閲覧も許された。この経緯は、前著『永山則夫 封印された鑑定記録』にも通じる。死刑囚の精神鑑定書を入手した。鑑定した医師から、死刑囚との話を録音したテープも託された。驚くべき取材力だ。

 教誨師の守秘義務を、どう乗り越えたのか。「渡邉さん自身が話したかったのでは。処刑された人たちとのことを、ずっと心の中に抱えていることが苦しかったのでしょう。病気で、自身の死期を感じていたと思います。同郷(広島県)ということも、幸いしたかもしれません」

 本人はそう話すが、偶然の成果ではない。渡邉が重い口を開くまで、2年近く待った。また、フリーのドキュメンタリーディレクター、さらにはノンフィクション作家として、死刑については分厚い取材の蓄積がある。講談社ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞を受賞してもいる。渡邉に、それまでに自分が作った裁判に関係する番組や著作、論考をすべて渡したことも、奏功しただろう。

 死刑執行の現場も、生々しく記されている。物理的に執行する人たちの精神的苦痛を、読者は想像せずにいられない。教誨師の心と体へのダメージも。執行されても「幸せになった人間は、誰ひとりもいません」と、渡邉はいう。死刑制度が、そうした苦しみに支えられていることが分かる。そして死刑を含む法秩序の中に、日本の社会はある。

 「自分には関係ないと思っている人たちが、一人でも多く死刑制度に関心をもってもらえれば」。その願いは、しっかりと読者の胸に届くはずだ。<文・栗原俊雄/写真・徳野仁子> 
    --「今週の本棚・本と人:『教誨師』 著者・堀川惠子さん」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20140608ddm015070058000c.html:title]

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