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覚え書:「書評:祈りの大地 石川 梵 著」、『東京新聞』2014年06月08日(日)付。


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祈りの大地 石川 梵 著

2014年6月8日


◆人の痛みを撮る覚悟
[評者]桜木奈央子=フォトグラファー
 本書は、世界各地の「祈り」を撮影し続ける写真家が、東日本大震災を取材し被災地と向き合った記録である。
 約三十年前、アフガニスタンで従軍取材を経験した著者は、命がけで戦う兵士たちの姿に衝撃を受けた。彼らの心の支えである信仰とは何なのか。それが「祈り」というテーマとの出会いだった。
 震災発生直後、東北地方を空から撮影しようとした著者が目にしたのは、津波で徹底的に破壊された町々だ。「いったいなぜこんな悲劇が東北を襲ったのか、私はこれまで世界各地で火山活動や地殻変動を空撮してきたが、眼下に広がる光景は受け入れがたいものだった」
 東北の大地で出会ったのは、それでも続く暮らしの中で小さな祈りを重ねて前に進む人びとの姿だ。著者も時にカメラを置き、うずたかく積まれた瓦礫(がれき)から、まだそこに眠る人びとの気配を感じた。それはまるで祈りのようにも見える。
 他者の痛みを伝えることは、伝える者が自分の人生に向き合う作業でもある。傷ついた人びとの写真を撮るということは、自分もその傷とともに生きる覚悟が必要なのかもしれない。彼らと深くつきあうほど悲しみや喪失感は大きくなる。そこにどうやって希望を見いだすのか。被災者である菅野啓祐さんと著者が、ともに新しい門出を祈って陸前高田の大漁旗を揚げるシーンが、印象に残る。
(岩波書店・2592円)
 いしかわ・ぼん 1960年生まれ。写真家・ノンフィクション作家。
◆もう1冊 
 石川梵著『THE DAYS AFTER』(飛鳥新社)。3・11の現場に立ち、震災をひとりの視点で捉えた写真集。 
    --「書評:祈りの大地 石川 梵 著」、『東京新聞』2014年06月08日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014060802000171.html:title]

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