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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 『ホンネ』使い間違えた? 釈然としない都議会ヤジ謝罪=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年07月16日(水)付。

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くらしの明日
私の社会保障論
「ホンネ」使い間違えた?
釈然としない都議会ヤジ謝罪
湯浅誠 社会活動家

 「個人の幸せは、それ自体が目的として尊重されるべきであり、別の目的の手段として位置づけられるべきではない」
 これは正論だ。正論だから表立って反論されない。ただ、大まじめに言ったことのある人なら経験があるのではないかと思うが、ちょっと場がしらける。正論を正論として述べることは、借りてきた言葉をダウンロードしているように見られる。
 「個人の幸せは確かに目的だが、それを追求したほうが経済成長にも資するし、少子化対策にもなるから、追求したほうがいい」
 これは事実上、個人の幸福追求を経済成長とか少子化対策といった目的の手段に「格下げ」している言い方だ。「たしかに目的」と前置きしているものの、実際には後者に力点がある。個人的な会話では、こっちのほうが力強くうなずかれる。言った方も聞いた方も中身のあることが言われたような気がする。
 前者をタテマエと言い、後者をホンネと言う。場に応じて、うまく両者を使い分けられるかどうかであり、タテマエがタテマエであること、ホンネがホンネであることの是非は真剣には問われない。
 女性都議に対して「早く結婚したほうがいいんじゃないのか」とヤジを飛ばした鈴木章浩都議が、6月23日の謝罪会見で繰り返し使ったのは「配慮」「初心」「正常化」という言葉だった(各11回、6回、7回)。配慮を欠いた発言で議会を混乱させてしまった、初心に返って議会の正常化に努めたい、という趣旨だった。
 私はこの謝罪の仕方に、釈然としないものを感じた。
 議会での質問(タテマエ)に対してヤジ(ホンネ)を飛ばした。ところが大事になって私的に使うべきホンネが公になってしまい、議会が混乱した。自分もふだんはちゃんと使い分けているが、今回は結果としてうまく使い分けられなかった。申し訳ない。--げすの勘ぐりだろうが、どうにもそう聞こえてしまった。
 もし「初心に帰る」ではなく「心(ホンネ)を入れ替える」という言葉があれば、こんな勘ぐりもしなくて済んだだろうが、その言葉は一度も出てこなかった。残念だった。
都議会セクハラヤジ 6月18日の東京都議会本会議で、みんなの党の塩村文夏(あやか)議員(36)が晩婚化対策などについて質問中、議員席から「早く結婚したほうがいいんじゃないか」と、女性蔑視のヤジが飛んだ。鈴木都議(51)がヤジを自分の発言と認めて塩村都議に謝罪、所属先の自民会派を離脱した。他にもセクハラと取れるヤジが複数あったため、都議会の議員運営委員長がヤジをとばした議員の再調査を各会派に要請することを決めた。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 『ホンネ』使い間違えた? 釈然としない都議会ヤジ謝罪=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年07月16日(水)付。

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