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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 介護、日常生活支え合う=宮武剛」、『毎日新聞』2014年08月20日(水)付。

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くらしの明日
私の社会保障論
介護、日常生活支え合う
地域包括ケアとは

宮武剛 目白大大学院客員教授

 市営の集合住宅群の一角で「ふれあい処ひとやすみ」は4年前に開設された。空き店舗を改造して1階の隅に「足湯」を設けた。温泉ではないが「温まる」「よく眠れる」と、お年寄りらでにぎわい、常駐の保健師や生活相談員に何でも相談できる。
 2階には「地域包括支援センター」が入り、社会福祉士、ケアマネジャーらが地域全体の介護や生活支援に対処する。
 来訪者の自然な交流も生まれた。「男性介護者の集い」、お年寄り向けの「火を使わない料理教室」、夕刻には、地元の有志が先生役で、「学習会」が週2回開かれ、塾に行けない中学生十数人が集まる。
 「箱根」の入り口に位置する神奈川県小田原市は人口約20万人、その海側で小田原福祉会は特別養護老人ホームを軸に在宅サービスを次々に拡充した。この集いの場も、その一環だ。
 「『施設に入りたい』と、心から希望した方は一人もいない」と、同会の時田純理事長(86)は言い切る。施設は必要だが「できるだけ自宅で暮らせる地域にしたい」と願ってきた。
 独居老人の会食を1978年に始め、ボランティアの助けも借り年中無休の昼・夕食配達に育てた。92年には独自のホームヘルパー養成を始め、県内初の24時間365日訪問介護につなげた。
 介護保険発足の2000年度以降は、在宅支援の通所介護、訪問介護・看護を拡充、特養ホームは定員100人で止め、運営が難しい短・中期の一時入所を70人も引き受ける。最近は診療所併設の住まい作りを急ぐ。
 小田原市は連合自治体25カ所ごとに「ケアタウン」作りを進め、同会は地元の東富水地域(人口約1・3万人)を担当する。
 「ふれいあい処ひとやすみ」を拠点にボランティアも結成され、1回100円のゴミ出しや電球の取り換え、1時間400円の草刈りなどに取り組む。
 「血縁も地縁もない集合住宅で、自分に関心を持ってくれる人がいる。その安心感で、地域を支えたい」。時田さんの思いが自治会や社会福祉協議会の助けを得て、中学生の面倒までみる「互助」に育ちつつある。
 政府・厚生労働省が進める「地域包括ケアシステム」は名前自体が難しすぎる。つまりは「地域ぐるみの支え合い」づくりだ。
 各地域で、高齢者らが何に困り、どう支えるか、現状と課題は千差万別である。市町村が連携すべきパートナーの、地域によって社会福祉法人や医療法人、生協や農協、NPO団体や市民団体などと異なる。市町村が主体になるものの、号令だけで動くわけもない。だが、この「地域再生」という難問に回答を出そうと懸命な地域も、わずかだが現にありうるのだ。
地域包括ケアシステム さまざまな生活支援サービスを日常生活の場(原則的に中学校区、人口1万人規模)で適切に提供する体制づくり。厚労省は25年度をめどに(1)介護サービスの拡充(2)医療と介護の連携(3)介護予防の推進(4)配食や見守り等の多様な支援(5)高齢者の住まいの整備--を目指している。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 介護、日常生活支え合う=宮武剛」、『毎日新聞』2014年08月20日(水)付。

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