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書評:「読書:『アダム・スミスとその時代』ニコラス・フィリップソン・著、永井大輔・訳、白水社」、『聖教新聞』2014年08月23日(土)付。

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読書
アダム・スミスとその時代
ニコラス・フィリップソン・著
永井大輔・訳

近代経済学の父の生涯と思想

 近代経済学の父=アダム・スミスの最新の評伝である。その生涯と思想をバランスよく叙述する本書は、大部の著作ながら一気に読み通すことができる。
 スミスが注目するのは「社交(交換)」の感覚だ。例えば、適切な言語使用は相互に心地よさをもたらす。感情の交換も財やサービスの交換も対極に位置するものではない。日常生活上の経験から道徳の原理を明らかにする『道徳感情論』と、折り目正しく生活することのできる術(すべ)として経済活動を論じた『国富論』は、いずれも「社交」感覚の展開であり、両者は密接に連携している。日々の暮らしの中で試行錯誤を繰り返し、歴史に学ぶことを重視するスミスらしい。
 また、スミスの思想にはヒュームの影響が欠かせない。本書はその友誼を詳しく取り上げ、ヒュームの人間学をスミスが完成させたと強調する。
 彼の人生と思想において、もっとも変わらない特徴は「謙虚さ」だと著者は言う。「この性向から、思慮ある一般市民は、千年王国じみた新たな天地創造をもくろむよりも、生活や公共の事案への対処において小さな改善を少しづつ進めていくこと」の大切さが導かれる。
 等身大の「啓蒙主義」で次代を展望した人物であることを明らかにするが、それは同時に、現代思想において評判の悪い「啓蒙」に、新たな息吹を吹き込む試みにもなっている。スミスの主著は、近年、新訳が相次いで刊行された。本書と合わせて手に取りたい。(氏)
白水社・3024円
    --「読書:『アダム・スミスとその時代』ニコラス・フィリップソン・著、永井大輔・訳、白水社」、『聖教新聞』2014年08月23日(土)付。

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アダム・スミスとその時代
ニコラス フィリップソン
白水社
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