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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 男女交際不活発社会=山田昌弘」、『毎日新聞』2014年08月27日(水)付。


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くらしの明日
私の社会保障論
男女交際不活発社会
自治体「婚活支援」の是非
山田昌弘 中央大教授

 国の予算がついたおかげで、いわゆる「婚活支援」、つまり、結婚したい人に出会いの機会を提供したり、つきあい方講座などを開いたりする自治体が増えてきた。私は「婚活」の造語者としてコメントをよく求められる。そこでは、自治体の婚活支援に対する反対意見もよく耳にする。「結婚相手を見つけるというプライベートなことに、税金を使うのはいかがなものか」というものである。それには、「就職対策、つまり、自分の仕事を見つけるというプライベートなことに税金を使うのはいかがなことなんでしょうね」と答えることにしている。
 「異性と会う時の服装や話題に関する講座を開く」「出会いのためのパーティーを開く」などを見ると、こんなことまで自治体がしなければならないのかという人がいてもおかしくない。しかし、嘆いても実態が変わるわけではない。それは、日本が「男女交際が不活発で格差がある社会」になっているからだ。今世紀に入ってから結婚しない人が増えているだけでなく、恋人がいない独身者の割合も増えている。
 恋人がいない独身者の多くは、30歳や40歳になっても親と同居している。特に男性は、仕事と実家の往復で外出も少ない。テレビやインターネット、ゲームなど、家で楽しい時間を過ごせる道具はたくさんある。男女交際を自由に楽しむ若者も確かに多い。しかし、その背後では、異性と話すどころか見かける機会もない若者が増えている。
 「支援せずに放置すれば、どうなるのか」と、婚活支援反対論者に聞いてみたい。どこに行けばよいかわからない、声のかけ方もわからないから、家にこもるのだ。このままだと、確実に出会いがないまま、親と一緒に年をとることになる。
 30年ぐらい前までは、独身者の大部分は男女とも正社員で、サークル活動などもあった。地方でも青年団活動が盛んだった。コミュニケーションが苦手な人でも、自然と出会いの機会が多く、時間をかけてゆっくり知り合う中で結婚していった。しかし、若者の非正規化が進み、青年団も消滅しつつある。自然に出会う場所や機会はどんどん減っている。これは、社会の責任とは考えられないだろうか。
 もちろん、日本の結婚の減少は、若者の経済的状況が悪く結婚しても経済的にやっていけない状況があること、さらには女性が子どもをもって働きやすい環境にいないことも大きな要因だ。出会いの機会が増えても、経済的、制度的問題を改善しなければ、結婚は増えない。同じように、たとえ経済的問題が解決されても、男女の出会いがなければ結婚が起こらないことも確かなのである。
国の婚活支援 生涯未婚率(2010年)は男性20・14%、女性10・61%。国は少子化対策強化のため、自治体の婚活などの支援に対する助成事業制度を創設。今年2月の13年度補正予算で「地域少子化対策強化交付金」として30億円を盛り込んだ。国が婚活支援予算を設けるのは初めて。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 男女交際不活発社会=山田昌弘」、『毎日新聞』2014年08月27日(水)付。

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