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書評:三谷太一郎『人は時代といかに向き合うか』東京大学出版会、2014年。

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三谷太一郎『人は時代といかに向き合うか』東京大学出版会、読了。本書は、政治史の大家が「時代と向き合い歴史を学ぼうとするすべての人々に」贈る歴史論集。近代日本の軌跡を辿り、現代と対話する本論集は、考えるヒントの玉手箱といってよい。 

日本の近代とさまざまの戦後 知識人の同時代観 二つの日本近代批判 史料と時代 という4つの角度で「向き合う」方途辿る。史料に準拠しながら闊達に語りは、歴史主義への惑溺を慎重に退けつつ、「永遠なるもの」を射程に収め続けている。

「人」と「時代」とは本来別のものである。「人」は「時代」に解消されないし、「時代」はいかなる「人」とも同一化されない。「人」は歴史を書くことによって、あるいは歴史を読むことによって、すなわち「時代」を認識することによって、はじめて「時代」を超えるのである。(あとがき)

なかでも本書の白眉は、著者の人物論であろう。勝海舟、内村鑑三、吉野作造と南原繁、そして田中耕太郎と丸山眞男論。「開明的市民の現像」描く中江丑吉論では初めて知ることが多い。「人」は歴史を書くことによって時代を超える。

本書は1988年筑摩書房より刊行された『二つの戦後』に一二篇を加えて再編したもので、『学問は現実にいかに関わるか』の続編だ。読了して驚くのは、30年以上前に書かれた文章を収録しつつも「色あせていない」こと。今読むべき本。

→ あとがきより「著者は三・一一大震災を幕末以来の日本の『一国近代化路線の終わり』としてとらえている。それは日本の近代を導いてきた『文明開花』・『富国強兵』のスローガンがその方向指示の効力を最終的に失ったことを意味する」。

これまで社会的活動をアカデミズムの矜持から、あえて一切を切断していた石田雄先生は、大胆に切り込んでいくことへ舵をきった。三谷太一郎先生もスタイルは違えども、同時代に対する危機感は同じく。

昨年11月の南原研究会のシンポジウムで、南原の国際平和への希求を歴史的に三谷太一郎先生は腑分けされ、その現代的意義を語られたけれども、1年とたたない間に、まあ、こんなことになるとは思ってはいなかった。そしてこれはおれも同じく。そんだけ、時代が差し当たりのところ「悪い」方へ進んでる。

この三谷太一郎先生を貫く「理想への憧憬」を手放さない姿勢というのは、南原繁に由来するのだろうなあ。先生が岡山で中学生だった時、ニュース映画で南原繁総長(当時)の映像を見たのが最初の出会い。以来、直接の学生ではなかったけれども、先生は南原繁を「先生」無しで呼ぶことが出来なかったという。本書はそのひとつの具体的展開とも言えよう。

 

[http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-003338-1.html:title]


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