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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 中央こそ『発想の転換』を 『ないものねだり』抜け出そうとする自治体=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年10月08日(水)付。


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くらしの明日
私の社会保障論
中央こそ「発想の転換」を
「ないものねだり」抜け出そうとする自治体
湯浅誠 社会活動家

 臨時国会が始まった。安倍晋三首相は「地方創生国会」と命名した。所信表明演説を読み、私が注目したのは次の一節だった。
 「大きな都市をまねるのではなく、その個性を最大限に生かしていく。発想の転換が必要です。それぞれの町が、『本物はここにしかない』という気概を持てば、景色は一変するに違いありません」。引き合いに出されていたのは、島根県海士町の「ないものはない」というロゴマークだった。
 言葉の内容に異存はないが、物足りないものを感じもした。
 現在、さまざまな分野で先駆的として注目される地方自治体は、「中央」からより遠い地域の小規模自治体であることが少なくない。海士町しかり、木質バイオマスを活用して地域再生をする北海道下川町しかり、福祉分野で顕著な実績を上げている北海道当別町しかりである。
 この際、「中央」とは永田町・霞が関や大都市にある大企業本社を指す。地域の独自の取り組みは、公共事業や企業誘致にもう期待できないという厳しい地域が、「あとがない」という危機感の中でもがき、苦しみながら生みだした。「中央」から言わば切り捨てられたことが、今日をもたらした面がある。
 地方はすでに「発想の転換」を行いつつある。その象徴が「ないものねだりより、あるものさがし」という地方活性化のスローガンだ。「ないもの」とは、高速道路であり新幹線でありハコモノであり大規模工場である。ねだる地方の相方は、それを誘因してきた「中央」だった。前述のスローガンや海士町のロゴは、その“共犯関係”を精神的に断ち切る、という宣言にほかならない。
 問題が共犯関係なのであれば、発想の転換は一方だけでは完了しない。「中央」である国会にも発想の転換が求められる。所信は国会に対して表明されるものだから、それへの言及が欲しかった。試行錯誤の末に活性化を果たしつつある地方が顕揚されるのは、喜ばしいことだ。しかしそれがどこかよそごとのように言及されていると受け止められれば、首相が求める気概を引き出すことはできないだろう。自らの気概を示すことなく、相手の気概を引き出すことはできない。
 所信では地方でがんばるカギカッコ付き「若者」たちへの期待感も表明されていたが、地方に飛び込む若者たちが断ち切ろうとしているのも、この共犯関係に他ならない。ここでも問題点は同じ。カギカッコ付き「おじさん」たちが発想の転換をがんばる必要がある。臨時国会の論戦では、その点が明らかになることを期待したい。
地方創生 2060年代に人口1億人を維持することを目指し、人口減対策と東京一極集中の是正を推進する構想。民間の研究機関が深刻な人口減で消滅可能性のある自治体を公表したのが検討のきっかけ。第2次安倍改造内閣で担当相を置き、内閣の最重要課題と位置付ける。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 中央こそ『発想の転換』を 『ないものねだり』抜け出そうとする自治体=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年10月08日(水)付。

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