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書評:ジョン・デューイ(阿部齊訳)『公衆とその諸問題 現代政治の基礎』ちくま学芸文庫、2014年。


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ジョン・デューイ(阿部齊訳)『公衆とその諸問題 現代政治の基礎』ちくま学芸文庫、読了。飛躍的に複雑化した機械化と画一化を特徴とする現代社会において、人間の息吹汲み取る民主主義は果たして可能なのか。本書はリップマンが『世論』『幻の公衆』で提起した問に応答し、民主主義の可能性を探求する一冊。

大衆社会は、必要な知識にもとづき判断を行う公衆という近代市民社会の前提を破壊したという点でリップマンに同意する。リップマンは世論操作の危険性への注意から、専門家の役割を強調し、公衆の政治参加を限定的に捉えるが、デューイはそうではない。

選挙民が不安定な集団を彷徨う現代においてローカル・コミュニティにおける自治の再生は不可能であろう。リップマンの危惧を共有しつつも民主主義への期待は失わない。復古再生ではなく、現在の共同体に等身大のむしろ新しい民主主義を構想する。

「もっと民主主義を!」 複雑化したのは社会だけではない。複雑化し寄る辺なき人々に自らの政治的有効性の感覚を回復させる為には、様々な思いや利害を再組織化することから出発する。制度や精神を固定化しない柔軟な思考が一貫することに驚く。

悪しき形而上的思考は、例えば国家の起源に目を向け足元を救われがちだが、「国家の形成はひとつの実験過程であらざるをえない」し、民主主義のあり方も同じである。唯一の正しいあり方を探求するよりも、現実世界での試行錯誤に注目する思考だ。

デューイは情報の公開と共有を強調、その基礎の上に成り立つコミュニケーションによる連帯、そこから立ち上がるアソシエーションと習慣による社会の内在的変革(公衆の再生)に民主主義の可能性を見出す。原著は1927年、今読むべき本。

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公衆とその諸問題: 現代政治の基礎 (ちくま学芸文庫)
ジョン デューイ
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