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書評:石光勝『生誕101年 「カミュ」に学ぶ本当の正義』新潮社、2014年。


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石光勝『生誕101年 「カミュ」に学ぶ本当の正義』新潮社、読了。カミュの探求を「正義」と捉え、その生涯と思索を、15本の「映画」で辿る異色のカミュ伝。仕掛けの多い構成ながら抜群に「読ませる」一冊だ。著者は若き日、カミュに傾倒したテレビマン。「テレビは現在の証人、映画は時代の証人」。

「不条理の男、チョリソー」「チョリソーはソーセージでしょ。ムルソー」から始まる冒頭の「カミュなんて知らない」から「ジャッカルの日」までーー。自由と中庸に正義を探求した行動の人・カミュの本質を本書は判りやすく伝える。

カミュは正義を思索と実践の往復関係のなかで探求した。絶対的価値を認めなかった態度は、サルトルとの論争の通り「手ぬるさ」がぬぐえない。しかし神を含めて「絶対」の定位が不可能な現在、修復的正義への探求の苦悩は現代の胸を打つ。

「輝かしく偉大なる時代の証人である有名なトリオ、サルトルとボーヴォワールとカミュのうち、後世に残るのに最もふさわしいのは最後の者かもしれない」。ピエール・ド・ボワデッフル『カミュとその運命』。

著者は終章でボワデッフルの言葉を引き「矛盾と懊悩のなかで、誰よりも真摯に、勇気をもって“近似”と“中庸”の“正義”を求め続けたカミュの、時代を超えた現在性を示唆する言葉です」と締めくくる。本書は今読まれるべき正義論。

 

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