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書評:飯野亮一『居酒屋の誕生』ちくま学芸文庫、2014年。


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飯野亮一『居酒屋の誕生』ちくま学芸文庫、読了。幕府の開かれた江戸は男性都市としてスタートし、居酒屋は非常な発達を遂げたという。「暖簾は縄暖簾と決まっていた?」「朝早くから営業していた?」様々な疑問に答える形でその実像と変化を追う好著。副題「江戸の呑みだおれ文化」。

「のみに行居酒(ゆくゐざけ)の荒(あれ)の一騒(ひとサワギ)」(河合乙州)。「居酒」という言葉の登場は元禄のころ。居酒はもともと計り売りの酒屋ではじまったが、「居酒屋」の登場は寛延年間の頃という。

居酒屋は従来の酒屋とは一線を画する業種として出発し、明暦の大火を境に爆発的に拡大した。「居酒やは立つて居るのが馳走なり」「居酒やへ気味合いをいふ客がとれ」「居酒やでねんごろぶりは立てのみ」(全て「万句合」)。それぞれの狂句は現在の匂いをうかがわせる。

池波正太郎の愛好した「小鍋立」も居酒屋で始まり、家庭に拡大した。土鍋から鋳物製への転用が流行を加速させた。「しゃも鍋」の登場もこのころのこと。野鳥減少で鶏への注目がその契機。ただし当時の鶏肉は固く焼き鳥には向かずメニューには見られない。

「酒飲みの身としては外で飲むことが多いが、一番多いのはやはり居酒屋だ。今日の居酒屋の盛況ぶりを眺めながら、しばしば思いは江戸時代の居酒屋へ馳せた」(おわりに)。食文化を豊かにし、幕府の規制を撤廃していく原動力ともなった居酒屋の歴史を豊富な資料から丹念に掘り起こす労作。
 


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