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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 男性の働き方見直しが先=山田昌弘」、『毎日新聞』2014年11月19日(水)付。


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くらしの明日
私の社会保障論
男性の働き方見直しが先
女性の活躍推進
山田昌弘 中央大教授

 女性の活躍推進が成長戦略の一つの柱になっている。日本は諸外国に比べ、政治や経済分野での進出が大変遅れている。女性の国会議員比率や管理職比率は、世界最低レベルだ。「すべての女性が輝く政策パッケージ」で示されたように「女性が活躍できるような環境を」というのは、方向的には正しい。ただ、施策として、保育所の充実や、企業での数値目標の設定、再就職支援などがあげられているが、それで十分だろうか。
 卒業生が今度結婚することになったが、仕事を続けようか迷っているという。彼女は大企業の総合職だが、忙しい時期は残業が週20時間を超え、休日出勤も求められる。結婚相手も同じ職場で、同様の状況という。子供が生まれ、育児休業や保育所うが使えたとしても、夫婦でこんな働き方を続ければ家庭生活を維持できない。
 優秀で会社からも期待されている彼女でさえ、そうなのだ。日本で管理職女性が少ないのは、同じ職場に勤め続け、残業、休日出勤をいとわず、家庭を顧みずに会社の都合で働くことが、管理職になるための条件となっているからだ。それが男性に可能なのは、家で家庭を守る主婦がいるからである。
 私は今、香港に滞在中だが、そこで働く人は、男性でも管理職でも残業がほとんどなく、夫婦そろって夕方家に帰ることができる。ヨーロッパでも同じ状況だ。ヘルパーが雇えたり、保育所が充実したりしていることも一因だが、それ以上に、長時間働かなくても管理職に昇進し、活躍できる環境こそが重要なのだ。
 日本の男性の労働時間が長いことで有名だが、女性も正社員に限れば、労働時間はとても長い。女性はパートが多く、平均すると短く見えるだけなのだ。女性管理職を増やすために、女性を今の男性並みに働かせることを可能とする施策では、多くの女性は絶対ついてこない。長時間働き、家庭生活を犠牲にしてまで活躍して管理職になりたいと思う女性は少ない。男性でも、そうした考えは徐々に減っている。
 女性問題は、男性問題でもある。主婦がいる男性を前提とした働き方を見直し、男女とも長時間労働をしなくても管理職に昇進し、活躍できるような施策を進める必要がある。西ヨーロッパ諸国や香港では、男女とも労働時間が短くても、労働生産性は日本よりも高水準で、経済成長率も高い。正社員、管理職の労働時間が長い日本の経済成長率はかえって低いことに、政府や経営者も気づくべきである。
 男性の働き方の見直しがない限り、女性の活躍推進は絵に描いた餅になってしまう。
すべての女性が輝く政策パッケージ 政府が助成活躍を推進するため、来年春までに実施すべき施策を集めた政策の集合体。子育て支援、主婦の再就職支援、パートの正社員化、在宅勤務の推進、セクハラ防止策の徹底など多岐にわたる項目が並ぶ。男性の家事・子育て参画推進や意識改革も盛り込まれたが、ごく一部にとどまっている。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 男性の働き方見直しが先=山田昌弘」、『毎日新聞』2014年11月19日(水)付。

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すべての女性が輝く政策パッケージ(pdf)
[http://www.kantei.go.jp/jp/headline/brilliant_women/pdf/20141010package.pdf:title]


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