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書評:小島毅『増補 靖国史観』ちくま学芸文庫、2014年。


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小島毅『増補 靖国史観』ちくま学芸文庫、読了。天皇中心の日本国家を前提し、内戦の勝者・薩長の立場から近代を捉えるご都合主義の「靖国史観」、これまで外在的批判は多数あったが、本書は「日本思想史を読みなおす」(副題)ことで、思想史的に内在的に批判する。有象無象の議論をこてんぱんにくさす一冊。

靖国神社の思想的根拠は神道ではなく、水戸学派の儒教にある。靖国は「英霊」を祀るというが、英霊という言葉すらそれは大和言葉ではない。「中国や韓国にとやかく言われる以前に、そもそも、この神社創建の由来は偏った日本史の認識にも基づいているのだ」。

。英霊「観」は藤田東湖の死生観に由来する。そしてそれは朱子学の理気二元論に由来する。藤田は天皇のために戦死した人間の「気」を「英霊」と捉えるが、尊皇の賊軍を参照すれば、ここには幾重もの「ねじれ」がはらまれている。天皇が参拝しないのも道理だ。

「国体」観念も神道ではなく水戸学に由来する。万世一系の天皇による祭政一致国家の理想も水戸学に由来するのだ。「モダンな人」たちがいかに笑い飛ばそうと、多くの人の心を捉える靖国。その虚構のねじれた内面を本書はあきらかにする。

“「国体」「英霊」「維新」、そして二〇一四年の文庫化に際して増補された「大義」という、ことばの来歴の方をたどる”本書は、“言葉の使い手ではなくかかれたもの自体の方を主体として哲学を構成しなおしてみせたデリダ的な営為”(与那覇潤・解説)。 


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