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覚え書:「メディア時評:大学脅迫問題、問われるのは「覚悟」=北星学園大教授(ジャーナリズム倫理)・阪井宏」、『毎日新聞』2014年11月29日(土)付。


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メディア時評:大学脅迫問題、問われるのは「覚悟」=北星学園大教授(ジャーナリズム倫理)・阪井宏
毎日新聞 2014年11月29日 東京朝刊

 朝日の慰安婦報道にかかわった元記者が教壇に立つ大学が、相次いで脅迫を受けた。脅されたのは、帝塚山学院大学(大阪狭山市)と、私の勤める北星学園大学だ。両大学は今春以降、文書、電話、メールで脅迫を受けた。「辞めさせなければ、学生に痛い目に遭ってもらう」と学生への危害をほのめかす文書もあった。

 問題が表面化してから、各紙は社説でこの脅迫行為を非難した。「暴力は、許さない」(10月2日朝日)、「看過できない卑劣さ」(同3日毎日)、「言論封じを狙う卑劣な行為だ」(同3日読売)などの見出しが並んだ。

 帝塚山の元記者は自ら辞職した。北星は当初、脅しに屈しない姿勢を示した。全国から応援の声が寄せられた。市民団体「負けるな北星!の会(通称・マケルナ会)」が東京と札幌で生まれた。大学教員、ジャーナリスト、弁護士らが名を連ね、学生5000人足らずの私大がにわかに注目の的となった。しかし10月31日、学長が元記者の本年度での雇い止め方針を表明すると、空気が変わった。報道には弱腰の大学を嘆くかのようなニュアンスも漂う。

 毎日は今月8日、全国の弁護士380人が脅迫の容疑者を本人不詳のまま刑事告発するという動きを社会面準トップで取り上げた。地元紙はマケルナ会のシンポジウムを紹介し、「大学が間違った選択をしないよう応援する」との北大教授の発言を伝えた。

 ありがたい応援である。ただ、この事件は北星だけの頑張りで済む話ではない。あらゆる組織が、いつ何時、同様の脅迫によって活動を阻害されるかも分からない。ところがそんな事態の深刻さが報道からは伝わってこない。

 志ある大学教員に提案したい。自らが勤務する大学に、元記者を講師として招く授業をぜひ検討してほしい。マスコミ各社にもお願いしたい。多彩なカルチャー講座の一コマに、元記者を呼んではどうか。市民の方々にも問いたい。集会所の会議室を借り、元記者と語る手があるではないかと。

 自らのフィールドでテロと戦う。その決断は口で言うほどたやすくはない。単独ではきつい。しかし、大きなうねりとなれば話は別だ。元記者を招く動きが全国に広がれば、脅迫者は的を絞れない。

 この国の民主主義を人任せにしてはいけない。試されているのは我々一人ひとりの当事者意識と覚悟だろう。(北海道支社発行紙面を基に論評) 
    --「メディア時評:大学脅迫問題、問われるのは「覚悟」=北星学園大教授(ジャーナリズム倫理)・阪井宏」、『毎日新聞』2014年11月29日(土)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20141129ddm005070020000c.html:title]

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